研究分担者 |
次田 晧 東京理科大学, 総合研究所, 教授 (00028284)
安永 照雄 理化学研究所, 電算機室, 研究員
五條堀 孝 国立遺伝学研究所, 集団遺伝系, 助手 (50162136)
堀 寛 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (60116663)
宮田 隆 九州大学, 理学部, 助教授 (20022692)
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研究概要 |
DNA塩基配列データあるいはたんぱく質のアミノ酸配列データから進化の系統樹の技分かれの順番を推定するための方法を開発した. この方法は最尤法に基づくものであり, 進化測度に関する何らの制約も加えていないから, 異なる機能をもった遺伝子の進化などのように, 進化測度が系統ごとに異なる場合にも適用できる. また最大対数尤度の分散を求めるための新しい方法を考案したもので, 推定された系統樹の信頼区間が比較的簡単に評価できるようになった. 更に最尤法の一般化である情報量基準AICにより, 必らずしも進化速度が一定でない場合でも分岐年代が推定できるように, 分子時計の解析法を一般化した. この方法をいくつかの霊長類偽遺伝子に適用し, 霊長目におけるヒトの系統学的位置について様々な新しい知見を得た(長谷川). 九大のDNAデータベースにおよそ600本の最新のデータを入力した. このデータベースを使って免疫グロブリン様配列をサーチした結果, 新しく免疫グロブリン・スーパーファミリーとして4つのメンバーを加えることができた. またサーチの方法に関しては新しい手法を開発した. 更に性染色体と常染色体の分子進化速度の違いから, 雌雄の突然変異率の違いを示唆するデータを得た(宮田, 安永). AIDウィルスなどのレトロウィルスの塩基配列データの比較から, これらのウィルスの進化や起原に関する新しい知見が得られた(安永, 五條堀). リボソームRNAの塩基配列データを解析し, ミトコンドリアの細胞内共生説の検証, 真核生物の各界の間の系統関係の推定, 真性細胞や後生物菌などの系統関係の推定を行なった(長谷川, 堀). クリングルという特殊な二次構造を有するプロテアーゼの機能的・進化的意義を調べるため, それらのアミノ酸, 塩基配列データの解析を行なった(五條堀).
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