研究分担者 |
西田 育巧 愛知がんセンター, 研究所, 室長 (50107059)
大久保 博晶 京都大学, 医学部, 助教授 (20094089)
近藤 寿人 京都大学, 理学部, 助教授 (70127083)
前田 秀一郎 熊本大学, 医学部, 助教授 (10117244)
山村 研一 熊本大学, 医学部, 教授 (90115197)
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研究概要 |
自然界に存在しない新しいタイプのモデル動物を開発し, 生物機能の研究を通してヒト疾患の解明や基礎生物学内研究に役立つ, 新しい生物現象の研究を目的とする. 運動失調を示す突然変異マウス(シバラー)の欠失遺伝子に対応する正常ミエリン塩基性タンパク質(MBP)遺伝子を導入し, 遺伝子治療に成功した. この実験によって, 脳特異的にCDNAを発現させることができること, MRNA, MBPの産生, ミエリンの形成, 行動の正常化が一つの遺伝子によって回復することが示された. ヒトのトランスサイレチン遺伝子を導入されたトランスジェニックマウスは, アミロイドの沈着が小腸に生じ, アミロイドーシンのモデルとなる可能性が示唆された. ラットレニンおよびアンジオテンシノーゲン遺伝子それぞれ導入されたトランスジェニックマウスが得られた. これらのマウスは血圧の上昇が認められなかったが, 交配によって得られた両遺伝子をもつマウスは有意に血圧の上昇が認められた. ニワトリ8-クリスタリン遺伝子の発現は, レンズおよび中枢神経系の一部に限られていることが, トランスジェニックマウスおよびキメラマウスを用いて証明されたが, 発現の組織特異性は, 第3イントロンに含まれる塩基配列によって決定されていることが結論された. ヒトインターロイキン2遺伝子導入マウスは, すべて運動失調を示し, 小脳が生後リンパ球の浸油によって傷害を受けることが示された. 以上のように羅列した, 今年度得られた外来遺伝子DNA導入マウスは, 第1に導入遺伝子の発現が認められ, 第2に発現された導入遺伝子産物が個体で機能し, 組織特異的に特異な機能を解析するシステムとなった. さらに第3に, 行動や血圧など, 細胞では決して測定できない, 個体でのみ観察される生物現象の研究にトランスジェニックマウスは, きわめて有力な方法であることが明らかとなった.
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