研究分担者 |
岩渕 雅樹 北海道大学, 理学部, 助教授 (30000839)
町田 泰則 名古屋大学, 理学部, 助教授 (80175596)
中村 研三 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80164292)
大野 哮司 東京農工大学, 農学部, 助教授 (00011726)
岡田 吉美 東京大学, 理学部, 教授 (30011703)
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研究概要 |
植物の全性能, 発生分化の分子機構の研究のために, 先ず器官特異的に発現する遺伝子を調べた. シカクマメのキモトリプシンインヒビターのcDNAがクローン化された. それはアミノ酸207個のORFと24個のシグナルペプチド域を含んでいた. サブフアミリーA, Bを構成するイネ貯蔵蛋白グルテリンの遺伝子は3個のイントロンを含み, TATA配列の上流にはレグミンボックス様配列があった. サツマイモ塊根貯蔵蛋白スポラミンの核遺伝子にはイントロンが無く, 5´上流にはTATA配列を含めて計3個の保存配列があった. サツマイモの培養細菌では茎でスポラミンが蓄積するが, トランスゲニックタバコカルスや再生植物体でも, それと同じパターンで蓄積がみられた. 細胞増殖と関連して発現するコムギのヒストンH3, H4遺伝子はヒマワリ細胞に導入しても正確に転写された. TATA配列上流には2種類の保存配列があり, 上流側のACGTCA配列に結合する核蛋白も発見された. 導入した遺伝子の発現を, 導入された植物側の諸条件下で, または発生分化の諸段階で解析することも全能性分子機構の理解に有効である. TMVの弱毒株のCDNAをタバコに導入すると, 弱毒性ウイルスが発現, 増殖するが病徴はあらわれない. しかし, TMV病染に対する強い干渉を示した. CaMV35SRNAプロモータ付のlacZを導入したタバコ形質転換体ではlacZの発現量の著しい変異がみられ, 核ゲノムDNAの影響が示唆された. 転写制御機構の研究にはin vitro転写系の利用も有効である. コムギ胚由来の系ではTC7遺伝子が正確に転写されることが示された. 核と葉緑体は密接に関連して機能する例が多い. その関連性をみるため, イネのRuBisCo遺伝子が調べられている. コムギの数種については, 核ゲノムの分化機構を調べるために, ゲノムの制限酵素地図作りが着手されている. エンドウマメでは, tRNA類似DNA配列を含む反復配列断片がクローン化され, 調査されている.
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