研究分担者 |
鎌田 博 筑波大学, 遺伝子実験センター, 助教授 (00169608)
庄野 邦彦 東京大学, 教養学部, 教授 (60050457)
長田 敏行 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (10012519)
堀田 康雄 名古屋大学, 理学部, 教授 (30190218)
建部 到 名古屋大学, 理学部, 教授 (80115592)
|
研究概要 |
本研究は全能性の発現の過程を, 脱分化・増殖・分化・種子形成・発芽・老化の素過程に分けて研究を分担して進めている. 脱分化過程については, タバコ葉肉細胞のプロトプラストがカルスを形成する脱分化過程に発現する遺伝子同定のために, cDNAライブラリーの作成を開始した. 増殖の過程では, タバコ同調培養細胞の細胞周期の各期に遺伝子を導入し, 細胞周期依存プロモーターの検索システムを確立することができた. 一方ユリの花粉細胞の減数分裂のDNA組換え酵素, recombinaseの単離, 抗体作成, 遺伝子単離へと研究が進められており, recombinaseの純化に成功した. 次の素過程, 分化については, ニンジン培養細胞で単細胞から高頻度, 同調的に不定胚を誘導する実験系を用いて, DNA・RNA合成, mRNACa++の局性分布が不定胚形成過程で発現し, またその過程でタンパクパターンの変動があるなどが明らかにされた. またニンジン, タバコ培養細胞で, 分化の植物ホルモンによる制御をオーキシン, サイトカイニン合成酵素遺伝子を導入して分化との関連を追究した. また遺伝的腫瘍を生ずるタバコ雑種細胞で腫瘍化をinvitroで自由に制御できる条件が確立された. 次の全能性発現の大きな局面は種子の形成と発芽については,ナタマメの種子成熟期のマーカータンパクであるカナバリンとコンカナバリンのcDNAをクローニングし, このうち前者の全塩基配列を決定した. またヤエナリ種子の発芽のさい, 子葉のアミラーゼの合成に対する胚軸の役割の分子生物学的な追究がおこなわれた. 一方レタスで組織特異的に発現する形質としてグルタミン合成酵素のcDNAのクローン化とその全塩基配列も決定され, またハツカダイコン子葉では老化の伴うこの酵素の発現制御が研究された. さらにオーキシン結合タンパクの遺伝子発現に対する作用も追究され, 全能性発現の分子機構解明へのアプローチが進んでいる.
|