研究概要 |
1.カボチャ種子の貯蔵蛋白質IISグロブリンのcDNA cloningを行い, その全塩基配列を決定し, 前駆体分子のアミノ酸配列を推定した(Eur.J.Biochem,inpress). IISグロブリンはアミノ酸21残基からなるsignal sequenceをもつpre-pro型の前駆体として合成され, co-translational processingを受けた後に, proglobulinに変換する. 次にproglobulin(459アミノ酸残基)は, Asn-Glyのsiteでpost-translational processingを受けて, γ鎖(275アミノ酸残基)とδ鎖(184アミノ酸残基)に分裂し, 成熟型のグロブリンになることが判明した. 2.上記のpost-translational processingを触媒する酵素は, 登熟子葉細胞の液胞中のmatrixに局在する. 至適pH5のthiol-proteaseであり, 貯蔵蛋白質の生合成と対応して, 種子の登熟後期に急激に合成されてくることが判明した(Plant Physiol,1987,85:440-445). 3.IISグロブリン前駆体はroughERで合成されるが, 同じくrER上に, プログロブリン分子の細胞内輸送に重要な役割を果している特異的なreceptorが存在することを見いだした(農芸化学会大会, 1987年4月). さらに, グロブリン分子に存在するs-s結合が, rERでプログロブリンのポリペプチド鎖内に形成されることが明らかとなった(Agric.Biol.Chem,1987,61:2007-2008). 4.貯蔵蛋白質の蓄積部位であるプロテインボディは, 種子の登熟期に液胞から出芽によって形成されることが判明した. (Protoplasma,1987,136:49-55).
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