研究概要 |
小脳プルキンエ細胞の樹状突起, 棘突起形成, 及び顆粒細胞とのシナプス形成に重要な役割を果たしていると考えられている. P_<400>蛋白質をddyマウス小脳から精製し, 性質の解析を行った. シュ糖密度勾配遠心法によって小脳よりミクロソーム分画を調製し, 可溶化後, Sepharose CL4Bによる, ゲル濾過を行い, 引き続きConA SepharoseによるAffinity chromatographyを行うことによってP400蛋白質を精製した(小脳100gより160μg.MW約250kd.). 当蛋白質に対んするモノクローン抗体を作製し, 正常及びstaggererミュータントマウスの脳組織における発現を, western Blot法及び免疫組織化学的手法により解析したところ, P_<400>蛋白質の発現は小脳プルキンエ細胞に特徴的であり, 生後3日間頃から21日まで, プルキンエ細胞樹状突起の発達と共に, その発現が増大することが観察された. Staggrerマウスでは, 正常マウスの様な発現及びその増大は認められなかった. 従って, Staggrer oacの異常は, 少なくともP_<400>蛋白質の発現異常が関与していることが示唆された. またP_<400>蛋白質精製の過程でCona affnity非結合画分にもSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動上:D_<400>蛋白質に相当する位置にバンドが認められたので, これについても解析を進めた. TSK DEAE-5pwによるHPLCを行うことによりSDS-PAGE上単一バンド(MW約240kd)二次元電気泳動で単一スポット(等電点約5.3)にまで精製した(小脳100gより900μg). このCona日結合性の蛋白質は, カルスペクチンαサブユニットと性質が非常に類似しているが, 若干分子量が大きいことから異なる蛋白質である可能性が示唆された. 当蛋白質のカルスペクチンとの異同, 及び小脳に特異的に発現が増大しているか否かについては今後の課題である.
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