研究分担者 |
加藤 元博 九州大学, 医学部, 教授 (90038638)
高坂 新一 慶応義塾大学, 医学部, 助教授 (50112686)
金澤 一郎 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (30110498)
岡 宏 福井医科大学, 医学部, 教授 (30025621)
木村 実 自治医科大学, 医学部, 講師 (40118451)
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研究概要 |
1.MPTPという合成物質がヒトでパーキンソニズムを発症させる事が明らかとなって以来, MPTPと構造が類似し, かつヒトの脳内に内在する物質の神経毒性の研究を精力的に行なってきたが, 昭和62年にテトラヒドロイソキノリン(TIQ)が, その有力な物質である事が明らかとなった. 小型のサル(マーモセット)2頭に, 50μg/kgのTQを連続投与する事でパーキンソニズムに極めて類似した状態を作る事に成功した. またドーパミン等生化学的な検討でも, それを裏付ける結果を得ている. 昭和63年度には多数のリスザルを用いて, 詳細な検討を予定している. また加れい令との関係も明らかにする予定である. 2.パーキンソニズム, および不随意運動という運動系の代表的な異常状態の脳内神経機序が, 機能的, 物質的過程の解析から明らかとなった. さらに, 上記疾患と最も関連の深い大脳基底核の機能に関して, 運動の準備や予期に関連する神経機序が明らかとなった. 3.同様大脳基底核のうちの代表的な核の線条体, 淡蒼球の機能が, 2-deoxyg/ucose法により画像的に明らかにされた. 4.神経組織を脳内に移植して脳機能の修復を行なう事に, 2つの大きな意味がある. 1つはパーキンソン病の治療という臨床応用への道である, パーキンソン病で欠乏するトーパミンを生成する合成酵素は, チロシン水酸化酵素である. 本酵素のcDNAのクローニングが昭和62年度にB班で成功した. そこで本cDNAを移植の材料となし得れば, 胎児の脳の使用などという倫理的な課題を避ける事が出来る. 分子生物学的手法を用いて, 昭和63年度に本課題の可能性の可否が決定し得る見通しである. もう1つの問題として神経成長(栄養)因子(NGF)の同定がある. これまでコリン系のみに関連すると考えられるβNGFのほかに, 本研究班で大脳皮質の細胞に対するNGFの同定が昭和62年度に完成した(昭和63年度にはさらに多くの物質を探索する).
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