研究概要 |
パーキンソン病PDの筋固縮, 振戦等の症状についてその脳内生理機構はほゞ明らかにされ, また黒質線条体系におけるカテコールアミンCA生合成系とその異常, またその治療についてもその根幹はほゞ明らかにされた. 今后の最重要課題はそのようなCA系代謝障発現の理由, TH活性低下の機構を明らかにすることであり, このことはPDの最大の特長である「進行性」の謎を明らかにする鍵でもある. 1)変性の過程:本研究者らはPDが内因性の神経毒による緩慢な変性ではないかと想定し, またこれ迄の若年性パーキンソニズムJPの剖検所見において黒質線条体障害が黒質細胞よりはむしろ線条体内におけるその投射の末端Terminalにおける方が著明であったことから, PDにおけるTH障害が末端よりはじまるのではないかと考えて実験を行った. 4匹のサルにおいてその1側尾状核はミニポンプを用いてmg/kgのMPTPを2週間連続注入し, その拡散のみられないことを確認するとともに, 逆行変性によって黒質細胞もまた変性することを証明した. 2)脳脊髄液中ビオプテリンBP:すでに血清BP値については正常人に比してPDでは低値であることが永津, 筆者等によって報告されている. さらに今年度は50例のPDとJPにおいて, 特発性振戦や小脳性振戦の症例を対照として, 脳脊髄液中BPを計測し, その明らかな低下がみられることを見出した. またその低下の程度はPDにおけるよりもJPにおいて更に低値であることが明らかにされた.
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