研究概要 |
1.Machado-Joseph病と思われる家系の標識遺伝子解析 自治医科大学神経内科(吉田教授)から依頼を受けた, Machado-Joseph病患者家系の患者10名と健康者8名について, その標識遺伝子の解析を実施した. すなわち, 赤血球型11座位, 血清蛋白型3座位, 血球酵素型5座位, 白血球型3座位の計22座位について調査したところ, Grossman(1985)の指摘したように, No.1の染色体と関連のあることが示唆された. No.1の染色体に遺伝子座を有するDuffy式血液型のFy(atb-)型, Rh式血液型のCCDee型, PGM酵素型のPGM-1型などが特に高頻度(患者)を示した. 2.小型霊長類の遺伝標識の解析 南米産である小型霊長類であるワタボーシタマリンの赤血球を免疫抗原としてmonoclonal抗体を作製した. その結果, ワタボーシ, クチヒゲ, ムネアカなど3種のタマリンを陽性型と陰性型に分類するT1308Bをクローニングすることに成功した. この抗体の免疫グロブリクラスおよびサブクラスはIgG_<2b>/Kであった. なお, T1308Bは複数のエピトープを認識するモノモルフィクを抗体と推定され, タマリン赤血球を酵素処理したのちの反応系から考えて, この抗体は糖脂質系抗原に対し相補性を示すものと推測された. これらの糖脂質抗原は簿層クロマトグラム上に2本のバンドとして検出され, 1本のバンドはグロボシドに相当するものであったが, 他1本のバンドの糖鎖構造は同定困難であった. その他, ワタボーシタマリンの赤血球を免疫抗原としてBALB/Cを免疫した, いわゆるmouse-mouse hybridoma cell lineによって, ヒト, カニクイザル, チンパンジーの赤血球を, それぞれ陽性型と陰性型とに分類する抗体の作製にも成功した. これは, ワタボーシタマリンとヒト, カニクイザル, チンパンジー血球を共通性を示唆する.
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