研究概要 |
特発性心筋症は未だ患者数こそ少ないがその予後の悪いこと, 若年者にも発症することで問題視されつつある. 一方その発症機序を解明する為に適当な実験動物が必要であるが, 従来筋ジストロフィー症の実験動物として開発されたジストロフィーハムスターの心筋障碍が心筋症の心筋障碍と類似していることから注目されてきている. 筋ジストロフィー症に関してはこの2, 3年ハーバード大のKunKelによって遺伝子工学的手法を駆使して飛躍的進歩がなされた. 特に遺伝子上ジストロフィー発症連関mRNAを促え, そのcDNAをとり5′端より配列をきめつつある. 今連関DNA欠損が原因となって産物の欠損が発症の機作になっているとすれば同様な機作が心筋にも心筋症で生じていることが考えられる. 本年は先ずKunKelの結果をもとにジストロフィー連関遺伝子DNA中エクソン相当部の20merをペプチド合成しシステインをつけ, サイログロブリンをS-S結合したもので抗体を作製した. 結果はウサギについて免疫したものはペプチドにもサイログロブリンにも反応したものでサイログロブリンで吸収した. ジストロフィー発症骨格筋も心筋症発症心筋も細胞膜に欠陥があると思われるので膜分画を行うことにした. 心筋を蔗糖TKMでホモジエナイズしてマイクロゾーム分画をとり, 次いで不連結蔗糖癌度勾配によりF_1, F_2, F_3の3つの分画を得た. 小胞体に存在するカルセクエストリンをスティンズオール染色で染めるとF_1は小胞体を含まない表面膜, F_2はどちらも含むジャンクション膜, F_3は小胞体膜であることがわかった. そこでSDSPAGEの6〜10%ゲルに流し, ウエスタンブロットして上記抗体で抗体染色することを試みたた. 少なくとも分子量350Kダルトンに反応し, もっと高い分子量をもつ蛋白質と反応した. 今後心筋症動物で検討していきたい.
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