研究概要 |
交感神経受容体に変動を与えるような条件として, 低酸素状態及びagonistへの曝露を選び, 核状態における単離心筋細胞上の受容体及びそれに共役した細胞内情報伝達系の変動を検討した. その結果, 30分間の低酸素状態への曝露によりα, β受容体数が有意に増加することを確認した. さらに増加したα受容体の一部は受容体活化反応としてのイノシトール代謝に結び付いていること, 但し受容体数の増加に比してその増加の程度は小さいことを認めた. また一方, agonist曝露によっては細胞表面のβ受容体数が減少することを確認した. 一方, Aキナーゼ, Cキナーゼが細胞内情報伝達系と結び付いたPTP結合蛋白に与える影響を, ADP-ribosyl化を用いて検討した. その結果, Aキナーゼによる燐酸化によってGi蛋白のribosyl化は抑制され, 一方Cキナーゼによる燐酸化によってribosyl化の促進が起こることが確認され, α, β受容体刺激により燐酸化反応を介してGTP結合蛋白が異なった形で制御されている可能性が示唆された. さらに, 交感神経α受容体刺激が心筋細胞内のCa^<2+>指示薬であるfura-2を用い, 測定した. その結果, ノルエピネフィリンによるα受容体刺激のみでは, 細胞内Ca^<2+>濃度に変化は認められなかった. しかし, α1受容体刺激により電位依存性のCa^<2+>流入の抑制が認められ, さらにそれがα1受容体刺激によって活性化されたCキナーゼによる作用であることが確認された.
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