研究課題/領域番号 |
62850010
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理計測・光学
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研究機関 | 高エネルギー物理学研究所 |
研究代表者 |
松下 正 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 教授 (40092332)
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研究分担者 |
黒田 新一 電子技術総合研究所, 基礎部, 主任研究官
大柳 宏之 電子技術総合研究所, 基礎部, 主任研究官
杉 道夫 電子技術総合研究所, 基礎部, 室長 (20271372)
飯田 厚夫 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助教授 (10143398)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
1988年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1987年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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キーワード | シンクロトロン放射 / 表面回折 / ラングミュアー膜 |
研究概要 |
昭和62年度には主に表面回折用ゴニオメーター、表面回折用トラフを作製した。昭和63年度にこのトラフを用いて水面上に良好なラングミュアー膜が展開できることをまず確認した。通常LB膜引き上げ用トラフに比べて極めて小型であるにもかかわらず十分な性能を発揮していた。このトラフを用いて高エネルギー物理学研究所放射光実験施設に新設されたマルチポールウィグラービームラインにおいてアラキジン酸の単分子膜を水面上に展開して表面回折実験を行った。展開された単分子膜が2次元素の液相と考えられている領域でもかなり鋭い回折ピークが観察された。表面張力を上げるにつれてこのピークの角度位置は低角側から高角側に移ってゆき分子間距離が小さくなってゆくことを示していた。さらに表面張力を上げ固相と言われている領域に入ると回折ピークの角度位置は一定となることが判明した。一方水中にカドミウムイオンが存在すると表面張力がきわめて小さくこれまで気相といわれていた領域においても回折ピークが観察された。このピークの角度位置は表面張力を上げていっても変化せず強度が上がりピーク巾が狭くなってゆくことが観察された。これは気相といわれている低表面張力下においても既に小さな島状の固相が存在し表面張力の上昇とともにそれが成長してゆくためと考えられることができる。 以上に述べたように、本研究により水面上に展開した有機単分子膜の構造を表面回折法により調べる手法が確立でき、当初の目的と達成することができた。今後、種々の有機膜の水面上での分子配列の基礎的研究に役立つとともに、工業的応用を目指したLB膜の2次元構造と水面上のラングミュアー膜の構造との関連を調べるなどこの手法により新たな研究を展開してゆくことが可能となった。
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