研究課題/領域番号 |
62850067
|
研究種目 |
試験研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子機器工学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榊 裕之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90013226)
|
研究分担者 |
冷水 佐寿 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (50201728)
濱崎 襄二 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00013079)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
10,800千円 (直接経費: 10,800千円)
1988年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1987年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
|
キーワード | 共鳴トンネルダイオード / 二重障壁構造 / 超高速スイッチ / GaAs@AlGaAs / 光双安定性 / 量子井戸 |
研究概要 |
二重障壁構造を電子がトンネル透過する場合、電子波は2枚の障壁で多重反射されるために遅延を受ける。この遅延τ_0が、共鳴トンネルダイオードの速度限界を与えるため、デバイスの構造パラメータとτ_0との連関を明らかにする必要がある。本研究では、ピコ秒分光法を用いて、2枚の障壁内に閉じ込められた電子がトンネル効果で抜け出すのに要する寿命での測定を行うことに初めて成功した。その結果、障壁の厚さを40〓、28〓と減らすにつれてτは600ピコ秒から60ピコ秒へと指数関数的に減少することが見出され、ピコ秒程のスイッチ機能の実現には、障壁の厚さL_Bを15〓以下にする必要が明らかとなった。さらに、この実測値は、二重障壁の量子状態の寿命に対応しており、トンネル透過ピークのエネルギー半値幅の理論値ΔEと不確定性原理で定まる予測値τ=【planck's constant】/(ΔE/2)によく一致することが明らかとなった さて、上記の結果は障壁にAlAsを用いた場合に得られたが、障壁を(AlGa)Asにした場合の影響について調べてみた。その結果Al組成を下げて、ガンマ谷のパンドネ連続性Voを減らすと、エネルギー幅ΔEと電流密度Jが指数関数的に増大して、高速化に有利であるものの、過剰電流成分の増大が顕著であり、室温動作には有効ではないことが明らかとなった。従って、室温で超高速動作をさせるには、薄いAlAsの使用が最適であることが示された。 共鳴トンネルダイオードを超高速のスイッチに利用する場合、三端子デバイスでないため回路構成上、様々な制約が生ずる。これを解決するために、量子井戸シュタルク変調器とトンネルダイオードを直列に接続し、一定のバイアス電圧を加えた複合デバイスを考案し解析した。その結果、100ピコ秒以下の時間でスイッチ可能な光双安定素子として機能することが明らかとなった。この素子は、低電力で高いon/off比が達成されるため、光情報処理への利用が期待される。
|