研究課題/領域番号 |
62870004
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久野 宗 京都大学, 医学部, 教授 (50142295)
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研究分担者 |
八尾 寛 京都大学, 医学部, 教授 (00144353)
高橋 智幸 京都大学, 医学部, 教授 (40092415)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1987年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | 神経筋接合部 / 神経終末端 / 発芽 / イオンチャネル / 可塑性 / CGRP |
研究概要 |
神経終末端は伝達物質の放出部位であると同時に発芽成長の場でもある。したがって、神経終末端は神経線維と異るイオン機構と性質を示すと予測される。しかし、神経終末端は微細な形態を有しているので、その性質の解析が困難である。本研究はルーズパッチクランプ法によって運動神経終末端の局所のイオン電流を記録する手法を開発し、また、神経終末端を発芽形成によって拡大することを企画した。本研究の実施中、神経終末端の発芽形成がカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)によって抑制されることを偶然見いだし、この結果に基づいて本研究はさらに神経筋接合部における可塑的変化の解析に発展した。実験には成熟ラットを用いた。下肢筋の神経筋接合部をノマルスキー顕微鏡下に直視し、運動神経終末端に微小電極を密着させることにより興奮に伴う神経終末端の局部のイオン電流を記録すること可能となった。神経終末端におけるイオン電流は興奮に伴う内向きNa電流とそれに続くK電流を示すが、そのK電流をブロックすると内向きCa電流の存在も明かとなった。筋を慢性的に不動化して運動神経終末端に発芽を形成させると、分離して走行する発芽部位から局所電流を記録できた。発芽部位においても内向きNa電流が見られ、その興奮伝導速度は約0.2m/secであった。不動化筋の神経終末端の発芽形成はCGRPの連日投与によって用量依存性に抑制された。これは神経発芽抑制物質として同定された最初の観察であった。筋の不動化に伴う神経筋接合部における伝達物質の放出の増加は、従来、神経終末端の発芽形成に起因すると仮定されてきたが、発芽形成をCGRPによって抑制しても伝達物質の放出の増加は抑制されなかった。この結果は、発芽形成と云う形態的可塑性と、伝達物質の放出亢進と云う機能的可塑性の間には因果関係が存在するのでは無く、両者は独立した仮定であることを示唆する。
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