研究課題/領域番号 |
62880029
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体物性学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 忠直 京都大学, 理学部, 助教授 (90093187)
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研究分担者 |
安藤 栄司 松下電器, 中央研究所, 主任技師
大西 俊一 京都大学, 理学部, 教授 (00025272)
ANDHO Eiji Matsushita Denki K.K. Principal Engineer
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1987年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
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キーワード | 浸透圧の不均衡 / オスモエラスティック・カップリング / 生体分子集合体の会合 / 脂質二層膜の会合 / アクチンフィラメントの会合 / オスモティック・ストレス |
研究概要 |
浸透圧の不均衡によって生じる熱力学的な力と、分子集合体の弾性要素との間のカップリングを利用して、分子集合体を会合させる方法を理論面、実験面で研究し、以下の成果を得た。まず理論面では、溶質の弾性要素を考慮にいれて浸透圧の不均衡下での溶質の振舞いを熱力学的に解析した結果、平衡状態では溶質の弾性的収縮により生じる弾性圧力が浸透圧の不均衡とが釣り合うこと、またその結果、溶質が会合体を形成すること等の可能性をはじめて明らかにした。次に実験面では浸透圧の不均衡を、1.高分子量の共溶媒により作り出す方法。2.オスモメーターを利用して作り出す方法。について検討し、それぞれにつき次の成果を得た。1.共溶媒として、高分子量のポリエチレングリコールを用い、リン脂質小胞、およびアクチンフィラメントの会合現象を研究し、上述の理論により解析した結果、以下のことが実験面ではじめて明らかになった。即ち、高分子量のポリエチレングリコールが立体障害のため、溶質表面から選択的に排除を受け、その結果、バルク層との間に浸透圧の不均衡が生じる。そしてその不均衡をうめるため、脂質二層膜やフィラメントが収縮を受け、その自由エネルギーを増加させることにより、やがて会合し、そしてその会合状態はひとつの熱力学的安定状態であるということが明らかになった。この方法により生体物質の秩序ある会合状態を作り出すことの可能性が示された。 2.広範囲にわたる強さの浸透圧の不均衡を作り出し、かつ準弾性光散乱の測定及び光化学反応を行うことが可能なシステムを試作した。レーザーを光源とした準弾性光散乱測定装置の組み立ては完了し、現在、オスモメーター方式による、半透膜を境とした静水圧の差により浸透圧の不均衡を作ることが可能な特殊セルを作成し、その性能及びレーザー光源を用いての光化学架橋反応により会合状態を固定する試みを行っている。
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