研究課題/領域番号 |
63010003
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
佐藤 清美 弘前大学, 医学部, 教授 (50006079)
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研究分担者 |
野口 民夫 大阪大学, 医学部, 講師 (70135721)
津田 洋幸 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 助教授 (10163809)
菊地 九二三 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助教授 (20006117)
渡部 烈 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00057316)
村松 正實 東京大学, 医学部, 教授 (10035454)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
16,200千円 (直接経費: 16,200千円)
1988年度: 16,200千円 (直接経費: 16,200千円)
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キーワード | 肝発がん / 前がん病変 / 酵素変異 / グルタチオン / S-トランスフェラーゼ / がん遺伝子 / 遺伝子クローニング / 遺伝子発現制御機構 |
研究概要 |
佐藤はラット肝前癌病変の特異的マーカー酵素グルタチオン S-トランスフェラーゼ胎盤型(GSTーP)の機能を解明するために、その酵素的性質を究明した。今年度はGST-Pやこれと諸性質が類似するヒト胎盤型(GST-π)(ヒト各種臓器 (前)癌マーカー)が活性酸素やSH修飾剤に特に感受性の高いSH基を有することを明らかにした。また、渡部は肝化学発癌で重視されている多不飽和脂肪酸過酸化物の除去に従来の細胞質性のGSTの他にミクロゾーム性のGSTが重要であることを明らかにした。村松はGST-P遺伝子をラット肝からクローニングし、その5'上流領域の制御領域、特にエンハンサー領域を解明し、その中の1つに発癌プロモーターTPAによって転写促進される遺伝子に共通のTRE配列を解明し、そこに結合促進する蛋白因子としてAPー1類似の蛋白を同定し、またAPー1産生遺伝子として癌遺伝子の1つc-jumをラット肝からクローニングし、ラット肝化学発癌過程で、この遺伝子のmRNAの上昇を認めた(佐藤とともに)。菊地は情報伝達にプロティンキナーゼと対をなして作用するプロティンホスファターゼの3種のアイソザイム(1A,α,typel)のcDNAをクローニングし、ラット原発性肝癌、移植性腹水肝癌でα分子種のmRNAが上昇していることを認めた。津田はラット肝化学発癌に対する抗酸化剤(BHAなど)の抑制機序に係わるGST,P-450などの役割を検討し、GST-P腸性巣内外の薬物代謝系酵素の偏倚差の消失が重要であることを明らかにした。野口は癌細胞におけるピルビン酸キナーゼ-アイソザイム遺伝子の制御機構を明らかにするため制御領域の解析を行い、M遺伝子の5'上流に正(-286〜-68bp)負(-358〜-286bp) の制御領域を、またL遺伝子の-185〜-152bpが正領域(エンハンサー)であることが解明した。今後の問題点としてGST-Pなどの発現に癌遺伝子(c-jun,c-fos)産物が関与していることが示唆されたので、より詳しい解析を進めたい。
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