研究課題/領域番号 |
63010025
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 日出夫 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (50013321)
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研究分担者 |
国元 節子 微化研, 主任研究員 (10161655)
稲葉 実 癌研, 癌化療センター, 主任研究員 (60085636)
小河原 宏 明治薬大, 薬, 教授 (00097198)
桑野 信彦 大分医大, 医, 教授 (80037431)
中村 昭四郎 広島大, 医, 教授 (40013304)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
22,200千円 (直接経費: 22,200千円)
1988年度: 22,200千円 (直接経費: 22,200千円)
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キーワード | 多剤耐性 / 耐性克服 / 抗癌剤 / P-glycoprotein / 癌遺伝子 |
研究概要 |
多剤耐性に最も重要な役割を果たしているP-glycoproteinをそのモノクローナル抗体を用いることにより初めて精製に成功した。その結果、ATP依存的に抗癌剤を排出すると考えられているこの蛋白自身がATPase活性を持っていることが証明された。多剤耐性を克服する合成イソプレノイドN-1379物質が抗癌剤の活性を巾広く増強することを見出した。この物質は単独で多剤耐性細胞に対してその親株に対するより強く殺細胞作用を現すと同時に、併用によりアドリアマイシン(ADM)、ビンクリスチン(VCR)、アクチノマイシンDなど耐性となった抗癌剤の効果を増強させるのみならず、耐性とは無関係の5-FU、ブレオマイシン(BLM)などの効果をも増強させる極めてユニークな物質であることが分かった。ADMやVCRの細胞内蓄積を高めることからこの物質はP-glycoproteinに作用することが示唆されるが、BLMの細胞内蓄積には影響を与えずそれ以外の作用も持つことが考えられる。現在、動物治療実験で有効性を調べつつある。また、AHC-52物質がP-388の親株、VCR耐性細胞移植マウスの治療実験に於いて、ip-ipの系でVCRの効果を高めることを認めているが、さらにiv-ivの系でもADMの効果を高めることを見出した。すなわちADM単独では無効のP388/VCRに対してAHC-52併用でT/C196%、ADM単独でT/C214%のP388/Sに対して併用で811%以上で60日生存マウスが3/6という成績を得た。このように臨床により近い系でAHC-52の併用効果が認められ今後に期待される。invitrodで多剤耐性癌細胞に有効なスパガリン、ストレプトニグリンおよびそれらの誘導体がマウスの治療実験でも有効であった。さらにフェナジノマイシン、グルコピエリンジノールを新たに放射菌培養濾液より見出した。ハービマイシンがpp60^<src>のチロシンキナーゼ活性を直接に阻害すること、SH剤の添加でその阻害が消失することからハービマイシンは活性中心のシステインと反応することが示唆された。
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