研究課題/領域番号 |
63010060
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
福島 昭治 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (00137077)
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研究分担者 |
長谷川 良平 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (40156328)
津田 洋幸 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (10163809)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
1988年度: 8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
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キーワード | 多重癌モデル / 発癌促進 / 発癌抑制 / 発癌修飾因子 |
研究概要 |
6週令のF344ラットを用い、発癌の促進ならびに抑制要因の検出のための多重癌モデルを確立した。すなわち、肝発癌物質のdiethylnitrosamine(DEN)、100mg/kg b.w.を1回、2日後より食道、前胃、胃、小腸、大腸、甲状腺、膀胱、胸腺など広範囲に発癌性を示すN-methy1-N-nitrosourea(MNU)、20mg/kg b.w.を3日間隔で4回、それぞれ腹腔内投与し、その3日後より肺、腎、甲状腺などを発癌標的とする2,2′-dihydroxy-di-n-propylnitrosamine(DHPN)、0.1%水溶液を2週間自由摂取させ、種々の臓器にイニシエーションを完了させるシステムである。さらに、このモデルを用いて、全身諸臓器の腫瘍性病変発現に対する被験物質の修飾効果を個体レベルで総合的に検討した。前述の発癌物質であるDEN、MNU、DHPNを投与した後の第2段階に種々の被験物質を16週間投与し、全経過20週で屠殺し、全身諸臓器を病理組織学的に検索した。また、対照群としてイニシエーションのみの群および被験物質のみの群を設けた。その結果、phenobarbital(PB)と4,4′-diaminodiphenylmethane(DDPM)、2-acetylaminofluorene、3′-methyl-4-dimethylaminoazobenzene、3-methylcholanthrene、ethionineは肝、PB、DDPMはさらに甲状腺、Ben-zo(a)Pyreneは肺、catecholと7,12-dimethylbenz(a)anthraceneは前胃、catecholは腺胃にも、さらに、clofibrateは膀胱における前癌病変ないし腫瘍発生増加をもたらした。一方、BHAとclofibrateは肝、ethi-onineとclofibrateは甲状腺における前癌病変の発生の抑制作用をも示した。なお、発癌性がないと証明されているcaprolactamはいづれの臓器における発癌にたいしても何らかの修飾作用を示さなかった。 以上、複数の発癌物質の組み合わせ投与による多重癌モデルを用いれば、一個体レベルで種々の臓器に対する化学物質のもつ発癌ないし発癌修飾作用を比較的短時間に検出し得ることかが明らかになった。
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