研究課題/領域番号 |
63015009
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
涌井 昭 東北大学, 抗酸菌病研究所臨床癌化学療法, 教授 (20006076)
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研究分担者 |
大槻 健蔵 北里大学, 衛生学部生物科学, 助教授 (60124559)
西平 哲郎 東北大学, 医学部外科学, 講師 (50101142)
金丸 龍之介 東北大学, 抗酸菌病研究所臨床癌化学療法, 助手 (70152783)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1988年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | 多剤耐性遺伝子(mar) / mar cDNAプラスミド / クロマチン非ヒストン蛋白 / 98KD蛋白 / erb-B2 / hst |
研究概要 |
今年度の研究実績は次の如くである。1.多剤耐性遺伝子(mar)がヒト癌細胞に実際どの程度発現しているかをみるために、ヒト骨髄性白血病細胞株K562のADR耐性株K562/ADRより得たmar cDNAをプローブとして、食道癌28例、胃癌24例の手術材料および小児急性リンパ性白血病株化細胞3株について、mar mRNAの発現をNothern blot hybridizationで検討した。その結果、食道癌例では2例(2/28)に、小児白血病細胞では3株中1株に有意なmRNAの発現がみられたが、胃癌例ではすべての例でmRNAの発現を認め得なかった。現在このmdr発現の機序を知る目的で、胎生13日目より出生時(22〜23日目)までのラット胎児、2-AAF(acetylamino fluoren)およびDEN(diethylnitrosamine)を投与したラットの胎児の全細胞より得たホモジェネートを用いて、mar mRNAの発現について検索中である。2.mar cDNAプラスミド導入によりADRやVCRに耐性となったNIH_3T_3細胞について、クロマチン非ヒストン蛋白のリン酸化を検討した結果、分子量98KD蛋白のリン酸化が著しく亢進しているのを認めた。この蛋白はマウスエールリッヒ腹水癌細胞より精製した98KD蛋白と同じものであり、1)casein kinase IIの特異基質であること、2)DNA結合蛋白の1種で、80%が核内に存在すること、3)DNAポリメレース活性を上昇させることが明らかにされ、現在、marとの関係を検討中である。3.食道癌手術標本でEGFRおよびerb-B2遺伝子の増巾を検討した結果、1例にerb-B2の増巾がみられ、さらにこの例においてhstの増巾も認められ、両者に共通するgenetic eventの存在を予想させた。これらの知見は遺伝子レベルにおいて、癌細胞の抗癌剤耐性克服の方策を研究する上で、貴重な情報を与へるものと考えられた。
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