研究概要 |
N-ニトロン化合物の発癌過程におけるO^6-アルキルグアニンの重要性に鑑み,われわれは哺乳類O^6-アルキルグアニン修復酵素のクローニングを目指している。様々な理由からExpression vectorを利用すること,大腸菌と哺乳類細胞の両方の系で並行してスクリーニングすることにし,まずACNU頻回処理によってラット脳腫瘍細胞株からO^6-AGT活性の高い株を分離した。この細胞のpolyA RNAからクローン数10^6以上,数100〜3・5Kbのインサートを持つExpresison libraryを,大腸菌用、哺乳類細胞用のものをそれぞれ調整した。また,多様な哺乳類細胞を調べ,O^6-AGT活性を欠きACNU感受性でトランスフェクション効率の良い細胞株を同定し,recipient細胞として使っている。さらに最終的なスクリーニングのため,抗O^6-エチルグアニン抗体を利用した高感度のO^6-AGT測定法を開発した(従来の方法に比べ約25倍)。 以上,クローニングに至るまでの各ステップの改良に努め,特にO^6-AGTの高感度測定法によって少量の細胞・組織でも測定が可能となり他の目的にも応用し得る。現在全体を通した実験を行い,最終的にトランスンフェクションによってO^6-AGT陰性から陽性に変化した細胞のクローンの同定に努めている。
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