研究課題/領域番号 |
63015052
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
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研究分担者 |
仲野 徹 大阪大学, 医学部, 助手 (00172370)
藤田 潤 大阪大学, 医学部, 助教授 (50173430)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1988年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 細胞増殖 / c-kit癌原遺伝子 / IL-3 / 増殖因子 / ミュータントマウス / タイロシンカイネース / レセプター |
研究概要 |
細胞相互作用が細胞増殖にはたす役割について最も研究が進んでいるのは拡散性の増殖因子とそのレセプターを介する系である。しかし直接的な細胞の接触が細胞増殖の刺激となる場合も当然考えられる。我々はマスト細胞の増殖について、T細胞由来の拡散性増殖因子であるIL-3を介する系以外に、線維芽細胞との接触に依存する系が存在することを明らかにし、その機構をミュータントマウス由来の細胞を用いて解析した。マウスの骨髄細胞をIL-3の存在下で培養するとほぼ純粋なマスト細胞が得られる。W/W^vマウスの組織はマスト細胞を欠損しているが、W/W^vマウスの骨髄細胞をIL-3の存在下で培養すると、正常(+/+)マウスの骨髄細胞を培養した時と同様の効率でマスト細胞が得られる。+/+由来のマスト細胞はIL-3が存在しなくても、マウス胎児由来の線維芽細胞と共生培養すると増殖を続けるがW/W^v由来のマスト細胞は線維芽細胞との共生培養ではG_1期からS期に入らず、やがて死滅してしまう。本年度中にカナダとアメリカの研究グループがW遺伝子とC-kit癌原遺伝子が同一であることを明らかにした。C-kitはタイロンシンカイネース活性を持つレセプター分子をコードすることが知られているが、そのレセプターに対するリガンドはまだ明らかにされていない、培養マスト細胞はC-kitのmRNAを含んでおり、マスト細胞はマウス胎児由来線維芽細胞の表面にある未知のリガンドをW(c-kit)遺伝子がコードするタイロシンカイネースレセプターで受け取っているらしい。S1/SI^dマウスもマスト細胞を欠損しているが、SI/SI^d由来のマスト細胞は線維芽細胞からの増殖刺激を正常に受け取る。一方SI/SI^dマウス胎児由来の線維芽細胞は+1+由来マスト細胞の増殖を刺激しないので、S1遺伝子はW(c-kit)がコードするレセプターに対する未知のリガンドをコードしているのではないかと考えられる。
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