研究課題/領域番号 |
63015074
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐藤 栄一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60004579)
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研究分担者 |
蓮井 和久 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70198703)
中村 敬夫 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90175505)
米沢 傑 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (10175002)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1988年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | 胃癌 / 大腸癌 / 血液型抗原 / シアル化糖鎖 / 異常H抗原 / 腺腫 / ルイス抗原 / 反応細胞 |
研究概要 |
胃癌及び大腸癌の癌化過程で、フコースを末端に含む糖鎖抗原にどのような異常が発現するか、またその異常抗原が組織学的な客観的判断のために、腫瘍マーカーとして有用かどうかを検討し以下の成績を得た。 1.胃癌。比較的初期の癌を検討するため、最大径1cm以内の小胃癌50例を検索した。正常ではほとんど存在しないシアリルLe^x-iや2-6シアリルLe^aが高率に癌組織に見出され、同時に周辺の腸型化生上皮にも多く発現していた。シアリルLe^x-iは小腸には見られず、大腸の正常上皮でも20%以下の表出であるので、胃癌及び周辺の化生上皮は異常な形質発現を示すものと考えられる。このような胃癌と化生とに共通なシアル化亢進の機序のうち、癌に特有な糖転移酵素の異常とその支配遺伝子について今後さらに検索し、胃癌発生機構の解明に着手する予定である。 2.大腸癌。(1)進行癌53例につき、血液型ABH抗原やそれに関連するレクチンにより免疫組織化学的に検索した。右側大腸癌例ではH抗原の消失傾向が、左側大腸では、再表出が見られ、H抗原の染色性には左右差はなかった。Lewis抗原ではLe^bとLe^yの癌での発現が高率であった、Le^yは正常大腸では僅かに見られるのみなので腫瘍マーカーとして有意と考えられた。糖鎖抗原と反応細胞との関連性を見ると、右側大腸の血液型抗原陽性の癌では、OKT11、Leu7、LeuM3陽性の反応細胞が血液型抗原陽性の癌よりも多数反応していた。一方左側大腸癌ではその傾向はあるが統計的に有意ではなかった。異常なH抗原を認識する抗体C12を用いたところ、大腸癌は左右とも高率かつ広範囲の染色性を示した。(2)腺腫および腺腫内癌でC12やLewis抗原の検索を行なった。腺腫の組織異型が高度になるほどC12の発現率も高くなり、腺腫内癌では90%の例で陽性であった。従って大腸癌とその癌化の過程ではH抗原に類似して異常なフコース含有抗原が産生されることが判明した。
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