研究課題/領域番号 |
63015086
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
古川 雄祐 自治医科大学, 医学部, 助手 (00199431)
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研究分担者 |
中村 充 自治医科大学, 医学部, 助手 (20198237)
大田 雅嗣 自治医科大学, 医学部, 講師 (90160514)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1988年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | インターロイキン1 / 単球性白血病細胞株 / 白血病細胞の増殖分化 / 合成ペプチド / 白血病の病態生理 / 自己増殖因子 / インターロイキン1抑制性サイトカイン |
研究概要 |
1.JOSK-I細胞が産生するIL-1の精製純化:単芽球性株化細胞JOSK-Iの無刺激状態でのIL-1産生は、飽和細胞濃度で最高となり、かつ細胞濃度依存性であった。培養上清の液体クロマト法での精製、分析の結果、活性部分の分子量は14-30kd、等電点は6.9であった。この活性は抗IL-1抗体にて中和された。またJOSK-I細胞で、IL-1βの遺伝子発現が確認された。 2.JOSK-I細胞の増殖におけるIL-1の役割と単球性白血病の病態生理に関する検討:精製IL-1は、液体及び半固形培地におけるJOSK-Iの増殖を濃度依存性に促進し、この細胞に対し、自己増殖促進因子としての作用を示した。白血病症例での検討から、単球性白血病症例で、有意にIL-1産生が高まっていることが確認された。またIL-1産生高値例で、擬固系検査値の異常、特にAPTTの延長を、きたしているものが多くみられた。 3.合成IL-1ペプチドの生理活性の検討:ヒトIL-1β前駆体アミノ酸配列中163から171番目のアミノ酸からなるペプチドを合成した。そのIL-1活性は、JOSK-I由来精製IL-1、rhIL-1βの作用に匹敵するものであった。 4.JOSK-I由来IL-1の阻害因子の部分精製:IL-1精製過程で、IL-1阻害活性を発見し、部分精製を行った。分子量38kd、等電点5.5で、熱、凍結、融解に対して安定、酸に不安定な物質で、JOSK-I細胞自身の増殖のみならず、活性化されたリンパ球の増殖も抑制した。 〔考察〕JOSK-Iの産生するIL-1が、自己増殖促進因子としての機能を持つことは、癌細胞の増殖機構を解明する上で重要であると同時に、近年注目されているIL-1の抗腫瘍活性について慎重に検討を加える必要性を示唆した。また。IL-1には多様な機能があり、合成IL-1ペプチドによる生理活性の検討は、臨床応用を考える上で是非とも必要である。今回同定したIL-1活性抑制物質が、JOSK-Iに対して増殖抑制因子として働くことが推定され、白血病細胞増殖に対する作用を詳細に検索中である。
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