研究課題/領域番号 |
63041006
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤野 和夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50001649)
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研究分担者 |
MICHEL F.A. Carlton University, Dept. of Geology, Ass. Profes
夏目 俊二 北海道大学, 農学部附属演習林, 助手 (30180532)
清水 収 北海道大学, 農学部, 助手 (20178966)
河村 俊行 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50091434)
松田 彊 北海道大学, 農学部附属演習林, 助教授 (30002075)
佐藤 誠司 北海道大学, 理学部, 助教授 (30000813)
加藤 喜久雄 名古屋大学, 水圈科学研究所, 助教授 (00022616)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
15,200千円 (直接経費: 15,200千円)
1989年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1988年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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キーワード | 地下集塊氷 / 永久凍土 / ウイスコンシン氷床 / 析出氷起源説 / 埋没氷起源説 |
研究概要 |
北極海沿岸地域に広範囲に存在する地下集塊氷の実体を雪氷学的、地球化学的及び地質学的手法を駆使して総合的に把握し、その成因、生成過程を明らかにするとともに、それが形成された時期、環境を永久凍土と関連づけて明らかにした。そのために、夏期に、地下集塊氷を内蔵する段丘及びその周辺の地質調査、地形測量を行い、堆積、成層構造から、その生成年代の解明を試みた。又、冬期に、地下集塊氷のボ-リングを行いコア資料を採集し結晶構造、化学成分分布を解析し、氷体の成因、生成過程を解明した。更に、インパルスレ-ダ-を用いて氷体の規模、内部構造の探査を行って、氷体とその上、下部の永久凍土との関係をあきらかにした。これらの結果を総合し、この地域の氷河期から間氷期を経て現在に至る水収支と環境変動の関連の解明を試みた。 これまでの調査で、得られた資料を解析した結果、以下の諸点が明らかとなった。 段丘周辺の精密測量の結果、氷体を内蔵する段丘は、氷体の融解崩落、波浪による侵食などにより、予想外の速い速度で地形変化が進行していることが明かとなり、又、同様の侵食過程が過去に段丘周辺の各所で進行した形跡が明瞭に残されていることが明らかとなった。 ボ-リングにより得られた氷コア資料に含まれている泥層内の有機物の炭素同位体の測定は、微量のため従来分析不可能であったが、名古屋大学水圈科学研究所のダンデム型質量分析装置により測定が可能となった。その結果、氷体がウイスコンシン間氷期(約2万年)に生成されたものであることが明らかとなった。 氷体の結晶構造、成層構造、化学成分分布、化石花粉分布等の解析結果のいずれも、氷体が析出氷で形成されているのではなく、凍結氷によって形成されていることを示している。 これらの結果は、これまで、定説となっていた地下集塊氷氷体の析出氷起源説を否定し、我々が提出している氷体埋没氷起源説を強く支持するものである。解析結果の一部は、日本雪氷学会、カナダ地質学会等に於て発表され、多数の研究者の支持を受けた。
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