研究課題/領域番号 |
63041014
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中村 完 東北大学, 文学部, 教授 (20004054)
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研究分担者 |
康 仁善 ソウル大学校, 人文大学, 講師
金 東俊 神田外語大学, 教授 (60195352)
梅田 博之 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20014459)
KANG In-seon Lecturer, Department of Humanities, Seoul National University
KIM Dong-jun Professor, Kanda University of International Studies
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1989年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1988年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 世代差 / 音韻 / 文法 / 基礎語い / 通時的変化 / 類推 / 母音 |
研究概要 |
韓国語ソウル方言は、音韻・語いなどの面で年長者世代とそれ以下の世代とで異なる点が少なくない。この、ソウル方言に認められる世代間の差異は、同一言語社会の中で各世代間に断絶的に生じている変化の結果であって注目に値する事であり、その事態の解明は韓国語の史的研究のみならず一般史的言語学にも貴重な資料を提供するものである。他方、語学教育の面においても標準語とされているソウル方言内での発音・語法等の差異は学習者に無用の混乱を与えるもので、その実態の把握が韓国語教育に寄与するところも大きい。 そこで、ソウル市内においてソウル方言の生え抜きの話し手について世代別に調査し、上記各面に関し世代差の実態についての具体的な解明を試みた。 調査は、ソウル生まれのインフォ-マントに対する個別的な面接調査によって行った。世代差の通時的な変化をあとづけるためには、できるだけ地域的に等質なインフォ-マントの世代別調査を行う必要がある。又、同時にそこで得られた仮説を検証しつつソウル全域で話されている方言の実態に迫るためには可能な限り多数のソウル生まれのインフォ-マント調査も行う必要がある。そこで、まずいわゆるmun-an(門内)と呼ばれるソウル旧城内地域出身の一族からなる極めて等質的なインフォ-マント群の調査をコアとして行い、同時に他の多数のソウル方言インフォ-マントの調査も行うことによって世代差の実態を把握するという方法をとった。 調査は、音韻面での世代別の特徴の解明と、基礎語いの語形・用法・意味等の世代特徴を明らかにするための基礎語い用例調査を行った。 1.音韻面での各世代の特徴、殊に長母音の消失、〓の存在の有無と消失した場合の母音の対応関係、前舌母音の開閉の区別の有無等について各インフォ-マントの状況を明確に記述し得た。 2.その結果、上記の変化は予想していたよりもかなり上の年代(たとえば60才代)にも生じている例がある一方、20才代においてもその区別を一部維持している例も見出だされたが、全体としては世代別の母音音素の推移の様相を明確に把握できた。 3.即ち、〓は50才代以下では幼い時に修得した基礎語いにおいては〓に変わり、他方学校教育などで学習した語いにおいては〓で発音する。又、語幹母音として〓を含む一部の用言の活用において〓語尾が付くと〓が〓に交替するものがあり、これが年少者世代において〓交替形を基とする類推によって語幹母音〓が〓に変わる類推変化も存在することが確認された。 その他、長母音・前舌母音の開閉の区別等についてもかなり上の世代から失われていることが認められた。 4.上述の母音音素の推移にともない、音素としては変化していないものについても、その内容が細かい点で世代的に差異が認められた。この点に関しては、今後更に採取した録音資料をもとに音響音声学的分析によって客観的に検証する予定である。 5.基礎語い用例調査を行い、基礎語いの語形・用法・意味等について各世代ごとに記述した。又、用例調査の過程で語尾・接辞等の文法形式の音形の違いや文節・文のレベルでの音形、文法上・表現上の世代差の有無についても記述した。これらは世代別基礎語い表の形で提供する予定である。
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