研究課題/領域番号 |
63041020
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 睦男 筑波大学, 歴史人類学系, 助教授 (20133043)
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研究分担者 |
SANTOS MILTO サンパウロ大学, 地理学部ブラジル国サンパウロ市, 教授
HARDOY JORGE 国際環境開発研究所, (11ED―AL)アルゼンチン国ブエノスアイレス, 所長
高橋 伸夫 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (50015773)
細野 昭雄 筑波大学, 社会工学系, 教授 (40114128)
中川 文雄 筑波大学, 歴史人類学系, 教授 (30014484)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
1989年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1988年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | ラテンアメリカ / 都市首位性 / 都市化 / 大都市圏 / メガロポリス / 人口動態 / 経済発展 / 都市システム / Urban System |
研究概要 |
研究活動は、1)国際研究集会と、2)総括論文の執筆の形で行われた。 1)国際研究集会:平成元年10月23日より27日まで筑波大学歴史人類学系において、内外の研究分担者8名で国際セミナ-を行った。 2)論文執筆:この研究集会での発表と討論をふまえて、各研究分担者の論文が研究報告書に掲載される予定である。 山田は、イスパノアメリカの旧高文化圏(メソアメリカと中央アンデス)とそれ以外のプレコロンビア期に都市化が見られなかった地域とに大別し、前者の典型として、メキシコの中央部、後者の典型として、ブラジルの沿岸部を想定し、それぞれについてその後の都市化の様態の特質を指摘した。 ガルサは、1900ー1988年のメキシコの都市化過程を1940年を境に1)緩やかな都市化、2)急速な都市化の2分し、後者の特徴を「大都市圏型都市化」(metropolitan type of urbanization)ととらえ、後者は、集中過程の枯渇と自然的な分散過程の開始というよりも、1980年を分岐点とする別の「メガロポリス型」集中への変化であると、解釈した。 細野によれば、メキシコの都市化過程において、1)現代的経済成長の圧縮過程、2)輸入代替工業化などの経済政策、3)高い人口増加率などの社会経済的要因が重要な役割を果たした。その結果、1)高度に加速的な性格、2)人口と経済活動の特定首位都市への集中、3)都市内での顕著な構造分化などの特徴が生じた。 ハム・チャンデは、発展途上にあるラテン・アメリカと北の先進国アメリカ合衆国との間3,300キロにわたるメキシコ国境地帯を分析した。この地域は、今日全国的な経済危機の中で、マキラド-ラ,観光産業、自由貿易制度、外国為替政策などの要因に支えられて、人口動態の面で急激な変化と高い都市化率を示している。 サントスは、ブラジルの近年の都市化の本質を「科学学術環境」(meio tecnicoーcientifico)という概念で説明した。18、19世紀の空間は、機械依存的、20世紀の空間は技術的であり、21世紀は科学と技術と情報に依存する空間の時代であろう。経済の変容(第3次産業化、情報化)に対応して、ブラジルは今日「新都市化」に直面している。交通と情報の改善を契機として、全国的に地域間、都市間の経済分業が進行し、経済活動の高度化、社会変動過程の地域分化(中間層、貧困層の分布の変化)が見られる。さらに、工業生産では分散化の傾向が生じながらも、情報面では中心都市サン・パウロの影響が全国で同時に生じることから、かえって「メトロポリスの崩壊」が生じている。 中川は、サン・パウロ大都市圏(SPMA)の首位性と集中度に関連して、ブラジルの中心都市圏の新たな定義を模索した。SPMAの人口首位性は、1960ー85年期にも着実に上昇したが、経済活動の集中は停止した。しかし、これが全国的な分散化の傾向への意向を示すものかといえば、疑わしく、むしろサン・パウロ市の中心より半径100キロ以内のより広域の地域への集中を意味するという。 アルドイは、アルゼンチンの都市化過程を歴史的に分析し、基本的な定住パタ-ンがすでに16世紀に確立したこと、独立後ブエノス・アイレスの港市としての重要性が確立していたこと、大土地所有制と鉄道建設の方式が移民の大都市集中をもたらしたこと、教育、住宅問題における中央政府への過度の集権体制と自治体の財政難が柔軟な対応を困難にしていること、70年代以降の経済停滞が都市のインフラ建設の停滞を通じて都市問題を悪化させたことなど歴史的な背景を説明した。また、アルゼンチンの政治において、都市問題が正当な関心や長期的な計画の対象になってこなかったことが強調された。 高橋は、空間的相互関係という意味でアルゼンチンの都市システムを実証的に分析した。ブエノス・アイレスなど特定大都市について、人口、金融活動、運輸交通からその影響圏を明かにし、さらにブエノス・アイレスについては、ミクロセントロ、マクロセントロ、郊外という概念でその都市構造を分析した。
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