研究課題/領域番号 |
63041021
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
牛島 巌 筑波大学, 歴史人類学系, 教授 (10091886)
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研究分担者 |
高杉 博章 帝塚山大学, 考古学研究所, 共同研究員
小松 和彦 大阪大学, 文学部, 助教授 (90111781)
高山 純 帝塚山大学, 教養部, 教授 (50122354)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
1989年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1988年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
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キーワード | ミクロネシアの文化的共生 / 土地制度 / 首長制 / 交換大系 / 氏族起源説話 / キリバスの先史学的発掘 / 単式釣り針 / ミクロネシア外文化領域との文化史的関連 |
研究概要 |
ミクロネシア地域の文化は一つの文化領域としての枠内で、ほとんど個々の島毎に異なる多様性を示している。この多様性は、共時的局面においては火山島対珊瑚礁に対比に代表される生態条件、通時的局面においてはミクロネシア内諸地域間の、そしてミクロネシア外諸文化領域との文化史的関連、この二つの条件を座標軸とすることによって理解が可能と思われる。 1988/89年の「ミクロネシアの島嶼間の文化人類学的調査研究」は、代表者牛島に小松、清水、高山、高杉(帝塚山大学考古学研究所)およびB.エルタイアで組織した。 牛島は、ヤップ島において調査し、伝統的慣習に対する違反と謝罪方法に関わる資料を収集する一方で、漁労、日常生活、踊りなどの映像資料を得て、一連のテキストとしての映像記録の習作を模索した。そして、これまでの総括として、妻方居住婚を行う中央カロリンと夫方居住婚を行う西カロリンにおける血縁、土地、称号の関係を比較・対比し、ヤップ島、ウルシ-環礁社会の位置づけを検討した。 清水は、ポ-ンペイ及びマ-シャル群島にて調査を行った。マ-シャル諸島の伝統的首長は、各々の支配地域が列島全体に展開しており、支配下の島々からの貢納品を再分配する経済的機能を持つが、この再配分が同時に島の生態条件の差による生業製品の地域的隔たりを標準化する機能を果たしていることを、具体的に把握できた。ポ-ンペイ・コシャエ両島については、現在時における世界大的な政治経済の枠組みに参入し、適応する過程での、島内外の人の出入りについての概観的資料を得た。 小松は、トラック北西諸島での調査で、北西離島間の相互援助(アンマナウ)、ヤップやポロワットへの貢納(メイビル、プリニコ-)、トラック環礁との交易(アム-ム-)などの交流システムを口承伝承から復元解明し、とくに近隣の島々には見られない性的祝宴(ナウコル儀礼)が、ポンナップではトラック環礁との交易航海の大きな原動力となっていたという特異な習俗が明らかにした。 高山、高杉、エルタイヤは、ギリバス諸島で、1983年の北部諸島での先史学的調査を踏まえて、生態的にも異なる中部・南部の二島(タマナとタワラ)を選んで発掘調査を行った。キリバス諸島での最初の居住跡と宗教遺構のみならず、単式釣り針をはじめ今まで知られていなかった種々の遺物を発見し、キリバス文化の起源や成立過程を探る上で重要な資料を得ることができた。とくに注目すべき発見は、北部グル-プがミクロネシアと密接な関係があるのに対して、南部グル-プはポリネシアと深く結び付いていることが明かになったことである。
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