研究分担者 |
MULLER Kieth 国立セルジッペ大学, 人文学部, 助教授
PINTO Magdal IBGE(国立地理統計院), 国際地図部, 部長
SILVA Leonid SUDENE(東北開発庁), 国際協力部, 部長
矢ヶ崎 典隆 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (30166475)
内藤 俊彦 東北大学, 理学部, 助手 (20004393)
肥田 登 秋田大学, 教育学部, 教授 (70015832)
山下 脩二 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80064731)
増田 富士雄 筑波大学, 地球科学系, 講師 (30091929)
斎藤 功 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (90006586)
MULLER Keith D. Visiting Researcher Department of Geography Federal Univ. Serjipe
PINTO Maria Magdalena Vi Professor, Division of Maps, IBGE.
FILHO Leonides Aves da S Director of International Cooperation, SUDENE
TSUCHIYA Akio Graduate Student, Institute of Geos., University of Tsukuba
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研究概要 |
本研究課題は,1989年度から1990年度の3年間にわたる現地調査を中心に実施された。 第1年度は,半乾燥地域北部地域のカンピナグランデ,パトス,モッソロ,フォルタレ-ザ,キジャダを拠点として気候,植生,水文,農業を中心に調査と資料収集が行われた。 気候に関しては,SUDENEにおける降水量資料の収集,カ-チンガ内での地温測定をした。降水量資料は帰国後日々を変化を中心に解析された。 水文関係は,10の大容量貯水池内の電気伝導度と水温の鉛直分布の観測が実施され,層状構造のあることが発見された。さらに,小さな貯水池を中心に,雨季から乾季に向けての水質や周辺土じょうの塩性化の状況を調べた。 植生については群落の種の構成等の調査とともに,年輪解析のためのサンプルを採集した。さらに,母岩・土じょう・樹木の14の化学成分を分析し,分配率を調べた。 農業の調査は,貯水池からの潅漑農業について土地利用の状況と栽培作物の年サイクルについて調査した。 第2年度は,サンフランシスコ中流ペトロリ-ナを拠点とし,調査を実施した。 気候関係は気象資料の収集を実施,水文関係は小容量貯水池の水収支の観測さらに大容量貯水池1つについ電気伝導度,水温の鉛直分布を調べ三層構造を見出した。 植生調査は,二地点で詳細な生態調査を実施するとともに,年輪解析用のサンプルを採集した。そして,年水不足量及び年水貯留量に対する樹木の反応の速さや水ストレスに対する耐久力を調べた。また,カ-チンガを構成する38種の利用の状況を調査した。その結果,牛・山羊・羊が好みとする樹種さらに,木材,木炭,薪あるいはフェンス等に使用される樹子の状況が判明した。 農業関係は,サンフランシスコ河谷開発公社のプロジェクトを中心に潅漑による大・中・小規模農業について詳細な調査を実施した。 さらに,サンフランシスコ河に築造されたソブラジ-ニョ貯水池の多目的な水利用についても調査した。 第2年度は,ブラジル調査に先立って,アメリカ合衆国カリフォルニヤ大学バ-クレ-校アリゾナ大学乾燥地域研究所において関係研究者と研究交流をするとともに資料・文献を収集した。 第3年度は,熱帯季節林地帯(Zona da Mata)を中心に調査した。 気候に関しては,日雨量及び一日3回の降水資料を収集した。 また,各地で土地利用と土じょうの関係を知るための土じょうのサンプルを集めた。 水文は,この地帯の生活用水の状況を調査をし,内陸半乾燥地域におけるそれとの比較を行った。 農業関係は,この地域で古くから開発されて来たサトウキビ裁培を詳細に調査し,石油ショック以後の急速な拡大の構造を明らかにした。 また,アウガロ-バの植林計画やその実態についても調査した。なお,第3年度は,ポルトガルおよびスペインにおいて十分とはいえないが古文書や古地図の収集を行った。 以上3ヶ年に亘る調査研究の結果,多くの新しい事実がわかった。 たとえば,気候に関して干ばつの常襲地域のノルデステではあるが,北部ノルデステと南部ノルデステでは全く異なること,そして北部ノルデステはSSTの変動と密接に関係のあることなどか明らかにされたし,また,沿岸部As気候の地域でも,その冬雨の原因がSSTと気温の差に基づくものと寒冷前線によるもののあることが明らかになった。 また,カ-チンガ群落の遷移とその遷移過程にある構成種に関し水収支と相対年輪生長幅の関係からその構成がかなり明らかにされた。 また,カ-チンガ群落を構成する樹種38種について牛・山羊・羊の最も好むものが,それぞれ異なること,また薪や木炭などに最も多く使用される樹種も数種に限られているなどが明らかになった。
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