研究課題/領域番号 |
63041031
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
廣井 美邦 千葉大学, 理学部, 助教授 (40019427)
広井 美邦 (1989) 千葉大, 理, 助教授
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研究分担者 |
VITANAGE P.W ペラデニヤ大学, 理学部, 教授
松枝 大治 北海道大学, 理学部, 助教授 (20108921)
加々美 寛雄 岡山大学, 地球内部研究センター, 助教授 (20108179)
浅見 正雄 岡山大学, 教養部, 教授 (10033193)
本吉 洋一 国立極地研究所, 研究系, 助手 (90211606)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
15,400千円 (直接経費: 15,400千円)
1989年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
1988年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | ゴンドワナ超大陸 / 先カンブリア時代 / 広域変成作用 / 累進変成作用 / 藍晶石 / 紅柱石 / 地殻下部物質 / 部分溶融 |
研究概要 |
南極昭和基地周辺地域の研究の延長として,分裂したゴンドワナ超大陸の中で、かって隣接していたと考えられるスリランカの地質学的な研究を行った。昭和基地周辺地域に分布する岩石(リュツォ・ホルム岩体とよばれる)の特徴は(1)主要な広域変成作用の時期が先カンブリア時代末期の約10億年前であること、(2)原岩の形成時代もその直前らしいこと、(3)約5億年前に,花崗岩類の貫入にともなう局所的な変成作用があったこと、(4)プリンス・オラフ海岸東部からリュツォ・ホルム湾岸に向って、角閃岩相からグラニュライト相に至る空間的な累進変成作用が見られること、(5)変成条件の時間的な変化に対応した鉱物変化の様子が個々の岩石中によく保存されていて,広域変成作用の初期には藍晶石の安定な比較的低温・高圧の条件があり、しだいに珪線石の安定な高温・低圧の条件へと移りかわったこと、(6)約5億年前には紅柱石の安定な低温・低圧の条件になつていたこと、(7)各種の変成超マフィック岩の構造岩塊が産出すること等である。リュツォ・ホルム岩体の西方には、多量の深成岩類と低圧・高温の条件で形成された変成岩より成るやまと・ベルジカ岩体がある。一方、スリランカに広く分布する高度変成岩類は、岩相や変成様式の違いなどから,ハイランド・シリ-ズ、サウスウェスタ-ン・グル-プ、東西のヴィジャヤンコンプレックスに区分されてきた。政情不安のため、これらすべての地質体を調査するわけにはいかなかったが、現在までに、次のような新知見が得られた。(1)約11億年前に主要な変成作用を受けたハイランドシリ-ズとサウスウェスタ-ン・グル-プの岩石中から藍晶石残晶が初めて見出された、(2)約5億年前の花崗岩の活動時に、サウスウェスタ-ン・グル-プばかりでなく、ハイランドシリ-ズの岩石中にも紅柱石が形成されたことが初めて明らかにされた、(3)スリランカの主要な鉱産物であるサファイヤやスピネルがドロマイト質大理石に産出することが確認された、(4)変成輝岩が初めて見出された、(5)一部の岩石の起源(マントルからの分離)は約28億年前までさかのぼるが、大半の岩石は主要な広域変作用の直前に形成されたらしい(同位体による)(6)スリランカはかって,南極のリュツォ・ホルム湾岸かそのやや西方に位置していたらしい(古地磁気による)。このように、南極昭和基地周辺地域とスリランカとの地質学的な深い関係がしだいに明らかにされてきたが、ひき続いた研究が必要である。 一方、南極研究にフィ-ドバックされなければならない現象として、次の点があげられる。(1)局所的なチャルノッカイトイヒ現象、(2)地殻下部物質の部分溶融と溶融物質の固相からの分離。これらの点は単にゴンドワナ地域内のことというのではなく、広く地球科学の根本問題に関係することで、今後の研究成果に期待されるものである。
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