研究課題/領域番号 |
63041037
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
蜂屋 邦夫 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00012980)
|
研究分担者 |
吉田 純 東京大学, 東洋文化研究所, 助手 (60182763)
原田 二郎 帝京大学, 文学部, 専任講師 (60198918)
末木 文美士 東京大学, 文学部, 助教授 (90114511)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
1989年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1988年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
|
キーワード | 道教協会 / 道観 / 全真教龍門派 / 正一教 / 道場 / 早壇功課 / 進修班 / 功徳 |
研究概要 |
1.予備調査においては、北京、山東、上海、杭州、江西、湖北、四川、陜西の各地を廻り、本調査のための折衝と若干の調査を行なった。主な成果は次のとおりである。 (1)山東省。これまで調査が行なわれていない掖県寒同山の神仙洞に行くことができた。上層四洞、下層二洞の洞の状況と道像の配置状態等を調査した。また、日本人研究者としてはじめて全真教発祥の地である牟平煙霞洞にも歩をはこび、洞の状況を調査した。 (2)杭州では葛嶺抱朴道院で座談会を行ない、道協の活動、道士の数、宗派、宗教活動の実状などを知った。 (3)江西省。龍虎山天師府を訪れ、第六五代天師から天師府再建の概況と当地の正一教道士の状況を聞いた。また、新建西山万寿宮の現状を調査した。 (4)湖北省。主として武当山を調査し、道協所在地の紫霄宮において道協の活動の実状を聞いた。武漢長春観では、道協の状況と観の回復状況を調査した。 (5)四川省。青城山建福宮、および天師洞の状況を調査した。 (6)陜西省。西安八仙宮、周至楼観台、華山玉泉院、耀県薬王山を訪ずれ、その現状を把握し、本調査の下準備をした。 以上、各地の状況については、大部分が日本人研究者としてはじめての知見である。 2.本調査においては、北京、陜西、四川、上海を廻った。調査地を限定したのは、本来の計画では7年間にわたる調査であったため(海外学術調査)である。この本調査は、その第一次調査にあたっていた。 (1)北京市。中国道協所在地白雲観において、全国の省・市・県単位の道教の活作状況などを聞いた。両国の道教研究の状況について意見を交換した。 (2)陜西省。西安八仙宮、華山玉泉院、周至楼観台を重点的に調査した。調査項目は、観の修復状況、道協の活動、組織、規則等、道士の宗派と人数、構成人員の割合(年齢、出身地)、日常の宗教活動、観の経済状況と道協の経済状況、後継者養成問題、等々にまたがる。歴史文物についての記録は十分にできなかったが、観内の碑などはその題を記録した。 中、小の道観(廟を含む)としては、西安東岳廟、城隍廟、華山純陽観、仙姑観、驪山老君殿、老母殿、戸県重陽万寿宮、宝鶏金台観などを調査した。 (3)四川省。陜西省で行なったことと同様の調査を行なった。重点的道観は、成都青羊宮、青城山建福宮、天師減、上清宮である。その他に江油太白祠,梓潼大廟、綿陽玉女泉、青城山朝陽洞、円明宮、玉清宮、祖師殿、灌県薬王廟、大邑鶴鳴山、彭県陽平治址などの調査を行なった。 (4)上海市。上海白雲潜、欽賜仰殿、崇福道院の現状を調査した。 なお、陜西省戸県では、全真教関係の碑の拓本を十数点購入した。四川省大邑鶴鳴山では、調査団として建碑した。また、主要地域においては、仏教との比較のために、かなりの寺院の調査も行なった。 3.総括段階としては、予備調査、本調査で得た和見を『中国道教の現状ー道士・道協・道観』(本文冊・図版冊)にまとめて出版した(東京大学東洋文化研究所、および汲古書院)。 今後は、同様の調査を、遼寧、湖南、福建、河南、広東、雲南、貴州、安徽で行なう必要がある。本調査をしていない湖北、江西、浙江、山東についても、さらに詳しく調査をする必要がある。道教の現状調査という問題に関するかぎり、研究は緒についたばかりである。
|