研究課題/領域番号 |
63041038
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松谷 敏雄 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (30012983)
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研究分担者 |
藤井 純夫 岡山市立オリエント美術館, 学芸員
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研究期間 (年度) |
1985 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
17,900千円 (直接経費: 17,900千円)
1989年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1988年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
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キーワード | ハツス-ナIa / ウバイド / ウルク / 新石器時代 / 初期農耕 / 集落 / テル / 堅穴住居 |
研究概要 |
われわれはシリア国北東部ハツサケ州のハブ-ル河流域で、新石器時代初頭ハッス-ナIa期(紀元前6千年紀)の集落遺跡を発掘調査した。その遺跡はテル・カシュカショクII号丘であり、調査は昭和60年(1985)の予備調査に続いて、昭和62年(1987)4月から9月の第1シ-ズン、昭和63年(1988)7月から12月の第2シ-ズンの2次にわたる本調査が行なわれた。 調査の成果は次の通りである。 1.ハツス-ナIa期はメソポタミア北部に最初に初期農耕村落が出現した時期で、イラク領にそれらの集落が分布しているが、シリア領のハブ-ル河流域までは分布していないとされていた。その定説をくつがえして、この時期の農耕村落の分布を拡大することが出来た。 2.テル・カシュカショクII号丘の最下層は地山に掘られたハツス-ナIa期の堅穴住居で、その直上に、同じ時期の壁を持つ家屋が建てられたが、この家屋は石膏の装置を備え、壁や床には石膏の上塗りが施こされていた。 3.出土遺物には西のレバント地方や北のアナトリアの影響もみられ、この時期の文化成立の研究に重要な資料を提供する。 4.ハツス-ナIa期の層に次いで、ウバイド・ウルク期(紀元前5〜4千年紀)の墓地が形成されたが、この墓壙の構造が詳細に明らかにされた。 今回の調査はハツス-ナIa期の存在をハブ-ル河流域で確認した点で大きな成果をあげたが、この時期の研究の農耕文化の成立を究明するために重要である。したがって、今後ハブ-ル河流域で同時期の集落遺跡の調査を継続する予定である。
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