研究課題/領域番号 |
63041049
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩槻 邦男 東京大学, 理学部, 教授 (10025348)
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研究分担者 |
武 素功 昆明植物研究所, 副研究員
村上 哲明 東京大学, 理学部, 助手 (60192770)
清水 善和 駒沢大学, 文学部, 講師 (50178993)
加藤 雅啓 東京大学, 理学部, 助教授 (20093221)
大場 秀章 東京大学, 総合研究資料館, 助教授 (20004450)
WU Su-qung Kunming Institute of Botany
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1989年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1988年度: 13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
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キーワード | 雲南省 / 横断山脈 / 植物分類学 / 植物生態学 / 植物地理 / 青蔵高原 / 細胞分類学 / 系統 |
研究概要 |
本計画の最終年度にあたり、次の調査研究を実施した。 1)研究代表者の岩槻が、1990年1月9日から24日にかけて訪中した、南京中山記念植物園と昆明植物研究所を訪ね、研究成果の刊行に向けて、資料標本の調査と、共同研究者との打ち合せを行った。(当初、8月訪中の予定であったが、天安門事件が発生したため延期し、北京の植物研究所の訪問は省略した。) 2)研究分担者の1人、昆明植物研究所の武素功氏が1990年2月18日から3月17日にかけて来日した。資料標本の調査と、共同研究者との打ち合せを行い、研究成果の取りまとめを行った。 3)1987年、88年の現地調査によって収集した資料標本は、ラベリングを終え、仮同定が進行中であったが、研究代表者と分担者が協力して仮同定を行い、いくつかの分類群については詳細な比較研究を行った。 4)昆崙山脈の採集品は、主として大場と武が研究し、主要な科についての同定を終えた。これは、武を代表とする中国科学院の青蔵高原調査の資料と一緒に報告書にまとめられる予定である。 5)シダ植物については、岩槻,加藤、村上、武、成が中心になって研究を行った。チャセンシダ科ホウビシダ群については村上が分類学的に比較解析した。1989年の現地調査の際に抽出し、持ち帰った資料にもとずいて、葉緑体DNAの分析が行われた。日本の無融合生殖型ホウビシダと同じ表現形質をもった有性生殖型が四川省峩眉山で発見され、狭義のホウビシダ類の多様化の過程を解く緒口が見出されようとしている。 オシダ科については若林の協力によって染色体数の観察が行われた。また、研究協力者の中藤成美が約20種のシダ植物について染色体の観察を行った。 染色体の資料も参考にしながら、オシダ科、メシダ科、ウラボシ科などについて比較研究を行った。日中に共通の種や、近縁の姉妹種関係にあるものについては、大量の資料を照合することにより、類縁の再検討を行った。 6)ベンケイソウ科とユキノシタ科は大場、若林、秋山、武によって研究された。若林は染色体数の観察を行った。染色体の資料も加え、青蔵高原やヒマラヤの資料とも対比させながら、特に高山系の種について詳細な検討を行った。 7)清水の1988年の観察資料は分析され、雲南省の植物社会学がまとめられた。 8)対象となった数科以外にも、横断山脈における植物資料が再検討された。多くの資料は今後の研究に委ねられているものの、命名上の問題などは比較整理された。これらの研究を通じて、今後の研究のために貴重な資料が集積されたといえる。 9)収集され、仮同定された標本のうち、昆明植物研究所と東京大学に収納される標本以外の重複品は交換資料として世界の主要なハ-バリウムに送付され、見返りに、各地からの貴重な標本が返送されつつある。 10)種子や胞子の状態で持ち帰られた植物は東京大学植物園で裁培され、研究に供されるほか、一部の種は系統保存に資される。
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