研究課題/領域番号 |
63041054
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
本蔵 義守 東京工業大学, 理学部, 助教授 (00114637)
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研究分担者 |
西上 欽也 京都大学, 防災研究所, 助手 (00189276)
飯尾 能久 京都大学, 理学部, 助手 (50159547)
大志万 直人 日本大学, 文理学部, 助手 (70185255)
池田 安隆 東京大学, 理学部, 助手 (70134442)
宮腰 潤一郎 鳥取大学, 教養部, 教授 (60032116)
NISHIGAMI Kinya Disaster Prevention Institute, Kyoto University, assistant
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
12,600千円 (直接経費: 12,600千円)
1989年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1988年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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キーワード | トルコ / 北アナトリア断層 / 地震観測 / トレンチ / 活断層 / 地磁気・地電流 / ラドン / 地震予知 |
研究概要 |
本研究は、トルコ北部を東西に走る大断層、北アナトリア断層帯の西部域において野外観測を行うことにより、この断層の活動度を調べ、将来発生するであろう地震の予知に関する基礎的資料を収集することにある。この目的達成のために、以下の項目に従って研究を行った。 1.地震観測 本調査地域はいわゆる地震空白域であるといわれ、地震活動度は低いことが知られている。しかし、具体的活動度は必ずしも明らかではなく、本格的な地震観測が望まれていた。本研究では、9点の地震観測点を設け、約3カ月間微小地震観測を行った。その結果、微小地震レベルでも地震活動度は非常に低く、やはり地震空白域となっていることが確認できた。これに対し、北部に位置する断層では地震活動度が高く、多くの地震が発生している。これらの地震のメカニズムを調べると、正断層型が多く、南部の横ずれを主体とする断層と明らかに違うことも判明した。この研究の際、本調査域の東部で類似の研究を行っているドイツ隊と地震観測記録の交換を行い、大きな成果が挙がった。また、地震波の減衰を調べたところ、断層の近傍で減衰が激しく、断層破砕帯の影響を反映していることも判明した。 2.トレンチ調査 本調査域の東部では、1967年に大地震が発生している。この地震の繰返し発生間隔を調べる目的で、トレンチ調査を行った。場所は1967年の地震時に断層変位が明瞭に地表に現れた河川敷であり、深さ3メ-トル足らずの調査壕を掘削した。両側の壁には地震時の断層変位がはっきり認められ、1967年の地震とその前の地震が確認できた。変位を起こしている地層から採取した試料の年代を調べたところ、300〜400年前のものとわかり、地震発生の繰返し間隔を推定することができた。わが国の活断層と比べると、この繰返し間隔はかなり短く、北アナトリア断層がわが国では例を見ない非常に活発な断層であることがわかる。 3.地形調査 本調査域には主な活断層が2本確認されているのであるが、断層線がいたるところで確認されているわけではない。本研究で行った地形調査からは、断層変位に伴う地形がはっきり認められ、かなり長い距離にわたって断層線を追跡できた。また、その延長線上に断層変位を示す露頭が発見でき、年代測定の結果、かなり最近断層が活動して地震を発生したことがわかった。このほか、活褶曲地形の調査から、応力場としては圧縮力が卓越し、地震のメカニズムから推定される張力場と一致しないことがわかった。この矛盾を解決するテクトニックモデルを提起し、将来の地震発生との関連について議論を展開した。 4.地磁気・地電流観測 活断層や活褶曲に関連する磁気異常や電位異常が発見でき、活断層構造の研究に新たな展望を開いた。地震予知の観点からは、これら異常構造との関連で連続観測を行うことが重要である。そこで、地磁気連続観測点を活断層近傍に配置し、異常変化の検出をめざした観測を行っている。現在連続観測点は7点あり、さらに繰返し測量も年に一度程度行っている。これまで異常らしき変化はほとんど観測されていないが、地震エネルギ-放出量増加に関連すると思えるわずかな変化を検出している。地電位も連続観測を行っている。連続観測点が1点のみなので、はっきりとした結果は得られていない。 5.ラドン観測 活断層近傍の数点で地中ガスに含まれているラドン濃度を定期的に測定している。ときどき異常と思える変化が観測されているのであるが、地震との関連ははっきりしていない。 これらの成果は英文の報告書として刊行した。また、国際会議の地震予知セッションで発表したところ、かなりの反響があり、報告書送付のリクエストが数多くあった。
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