研究課題/領域番号 |
63041068
|
研究種目 |
海外学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
浦野 隼臣 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50023990)
|
研究分担者 |
P.M. Black オークランド大学, 地質学部, 教授
鮫島 輝彦 オークランド大学, 地質学部, 客員研究員
黒田 直 静岡大学, 理学部, 教授 (60021903)
白木 敬一 山口大学, 理学部, 助教授 (60144911)
杉浦 孜 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60023991)
SAMESHIMA Teruhiko Univ. of Auckland, Geology Dpt., Emeritus Professor.
BLACK P.M. Univ. of Auckland, Geology Dpt., Professor.
|
研究期間 (年度) |
1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1988年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
|
キーワード | 無人岩 / 高マグネシア安山岩 / ニューカレドニア / ニュージーランド / 島弧 / 安山岩 / 火山岩 / 超苦鉄質岩 |
研究概要 |
1.ニューカレドニア 今回は主として、1982年に調査した西海式中部、ネプイ村近と中央山脈、アミュー峠付近の無人岩の再調査と、西海岸の「玄武岩層」の調査を行った。 (1)ネプイの無人岩 無人岩はブランシェ川とルージュ川付近の海蝕台地で堆積物中の角礫として、ルージュ川の河床で礫岩中の角礫として、超苦鉄質岩の小丘上(キワニス記念碑の丘)で超苦鉄質岩とともに角礫として産する。これらの無人岩は單斜エンスタタイトを多量に含み、そのMg値は90ー88、共存する斜方輝石のそれは87である。またMgピジョン輝石が微晶として産し、そのMg値は70である。クロム鉄鉱のCr_2O_3含有量は約59ー62%である。ブランシェ川付近の道路沿いで産した無人岩は新鮮で橄欖石の結晶が残存する。ある角礫では橄欖石は長さ0.7mmで、光軸角2Vz=86.88°であり、共存する斜方輝石の核は光軸角2Vz=89°である。キワニス記念碑の丘の角礫でも橄欖石は斜方輝石中の包有物(0.08mm×0.04mm)としてまれに残存する。 (2)アミュー峠の無人岩 この無人岩は單斜エンスタタイト仮像と普通輝石を含み、パンペリー石とぶどう石を含む変斑糲岩の上位にあり、かなり変質した枕状溶岩として産する。一部は角閃岩に変成しており、この枕状溶岩の上に橄欖石玄武岩の変質した枕状溶岩がのる。橄欖石玄武岩は橄欖石のほか普通輝石と累帯しない斜長石を含む。 (3)「玄武岩層」 西海岸の「玄武岩層の」の岩石はかなり変質しており、ぶどう石を含むものがある。主体は結晶度の高い橄欖石玄武岩から成り、時にガラス質のもの(ポヤ峠付近)も含まれるが、無人岩様の岩石は含まれていないようである。ガラス質の少ないこと、斜方輝石を含むこと、燐灰石が目につくこと、はアミュー峠の橄欖石玄武岩と大きく相違する点である。 2.ニュージーランド ニュージーランドでは、ノースランドの第三紀ワイラカウ安山岩類および第四紀のタウポ・キウィタヒの両火山帯から高マグネシア安山岩が報告されているので主にその調査を行った。タウポ火山帯では最北端のホワイト島火山と最南端のトンガリロ火山地帯で特に豊富に高マグネシア安山岩を産する。 (1)トンガリロ火山地帯の高マグネシア安山岩 トンガリロ火山地帯のポウツダム地点、マフイア滝、プケオナケ火山、オハクネ噴石丘の各地点で高マグネシア安山岩を採取した。ポウツダム地点の高マグネシア安山岩は径1cmに達する單斜輝石斑晶を多量に含む斑状安山岩であり、また、オハクネの試料も同様な橄欖石斑晶を多量に含むものであった。マフイア滝およびプケオナケのものは橄欖石と輝石の結晶をもっていた。これらは著しく斑晶質であるので、その高マグネシウム含有量はこれらの結晶が多量に集積した結果によるのかもしれない。 (2)ホワイト島高マグネシア安山岩 ニュージーランドで最も代表的な高マグネシア安山岩であるホワイト島高マグネシア安山岩については、その構成鉱物の組成をEPMAにより詳しく調べた。ホワイト島高マグネシア安山岩は橄欖石・單斜輝石・斜方輝石・斜長石の斑晶、少量のクロムスピネル微斑晶、および長石・輝石・ガラスの石基から構成される。橄欖石はFo92.1〜82.9で正規累帯を示す。單斜・斜方輝石はいずれも逆累異を示し、單斜輝石の中心部のMg値は78.7〜75.2、縁辺部では83.9〜79.7、斜方輝石の中心部76.6〜73.8、縁辺部81.6〜70.3である。斜長石の多くも逆累帯を示し、縁辺部のAn最高値73.2から中心部のAn最高値68.7へと変化する。クロムスピネルのCr_2O_3は51.45%に達し、高マグネシア安山岩に特有な高いCr_2O_3を含むクロマイトである。 ホワイト島高マグネシア安山岩の橄欖石のFo値は火山岩の橄欖石では最も高く、マントルの橄欖石中の橄欖石のFo値に匹敵する。しかし單斜・斜方両輝石のMg値は、特にその中心部におけるMg値が橄欖石に比べ著しく低い。したがって單斜・斜方両輝石が橄欖石の晶出した同一マグマから橄欖石に引き続いて晶出したとは考え難い。ホワイト島高マグネシア安山岩はマグネシウムに富むマグマとマグネシウムに乏しくシリカに富むマグマの混合によって生じたと推定される。これは無人岩や瀬戸内のサヌキトイドとは著しく異る点である。
|