研究課題/領域番号 |
63041069
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
法貴 誠 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (00024589)
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研究分担者 |
プレンブリディ タムロン チュラロンコン大学, 工学部, 教授
岩崎 正美 鳥取大学, 農学部, 助教授 (60032299)
堀尾 尚志 神戸大学, 農学部, 助教授 (00031229)
大原 興太郎 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (70024586)
小池 正之 筑波大学, 農林工学系, 助教授 (60032306)
PREMPRIDI Thamrong Chulalongkorn University ・ Faculty of Engneering ・ Professor
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
12,500千円 (直接経費: 12,500千円)
1989年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1988年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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キーワード | タイ / 鍛冶屋 / 在来農具 / 伝投技術 / 農作業 / 適正技術 / 農業技術史 / 農業機械化 |
研究概要 |
在来農具と農法は東南アジアにおいてもそれなりの合理性をもって存在している。このような認識に立ち、農具形態の地域的特性と利用、ならびに製造工程の工学的分析、流通過程を調査した。又、在来農具を農法や農作業の中に位置づけ、社会学、経済学、歴史学、作物学等の境界領域における考察をも加えながら農法展開の調査研究を行った。そして国際セミナ-を通し関係国研究者との合同討議を行い適正技術の移転がスム-ズに行える資料を提供した。 現地調査は1988年7月ー8月にタイにて実施され、チュラロンコン大学、カサセ-ト大学、プリンスオブソンクラ大学、キングモンクット大学、チェンマイ大学およびメジョ-大学の関係者の協力を得た。また、1989年8月には調査総括に一環として現地研究分担者タムロン・プレンプリディによる第3回国際セミナ-がチュラロンコン大学の主催で実施され、在来農具と鍛冶屋の技術レべル調査に基づき、総合的な検討を行なった。 研究成果の概要を以下に列挙する。 1.タイ北部を中心とした調査により、在来農具と農作業の関係、農具の形態的特質、農具製造工程の工学的分析、農業経営形態、及び農具の流通販売過程、野鍛冶技術とその伝承・伝播等、東南アジア農業の適正技術の確立に関する基礎的学術資料を得た。 2.在来農具についてはタイにおいて耕うん、代かき、田植え、除草管理、収獲、加工等に用いられるものにつき調査・分析した。 3.さらにタイの現地条件に適応し、いくつかの利点を有する伝統的プラウの形態的特質を設計工学的デ-タとして整理した。これらのデ-タに基づき新しい改良プラウの設計開発にコンピュ-タデザインシステムの導入を試みた。このシステムの実用化についてはカセサ-ト大学との共同研究が順調に進みその研究成果は国際学会誌等に発表している。 4.タイの農法展開をみると、伝統的農法は急速に新しい技術に取って代られつつあるが、その技術的変遷過程には顕著な地域的差異が見られる。伝統的に米生産が経済の重要位置を占めるタイでは、農具や農作業の中に地域の自然環境に適応した様々の伝統的技術や工夫が見られ、農業機械を含む新しい技術のなかにそれらの影響が色濃く反映しているといえる。 5.タイにおける特徴としては現地開発技術が地域性と自然環境に適応しつつ多様化していることである。また耕うん作業や収穫作業についても比較的豊富な労働力を生かし得る適正技術の確立が進んでいる。 6.収穫については北部や東北部においてはマイピ-プと呼ばれる脱穀用手農具による打穀が行われている一方、中央平原を中心に国産の投げ込み式スレッシャ-が普及している。 7.又、北部においてはチェンマイ市周辺機械化にともない、集約的な3毛作すなわち、米作と大豆・野菜を組み合わせたシステムも急速に進んでいる。 8.タイ国内には200戸以上を擁する鍛冶屋の大集落がプレ-、ランパン、アユタやコラ-トと4ケ所あり、鎌、シアム(スコップに類するもの)山刀等の農具需要の70〜80%を供給している。近年、電化が進むと共に生産工程の近代化が起こり、家内工業から工場的手工業に移行するものが見られるようになった。農具は行商人によって鍛冶屋から消費者へ運ばれて販売されているが、大量生産にともない車で卸売・小売を通して流通するものが増加している。 なお、本研究はタイ国でも大きな関心を持たれ、カウンタパ-トであるチュラロンコン大学タムロン教授による国際セミナ-「東南アジアの在来農具と農法展開に関する研究」が1989年8月1日〜3日に同大学で実施された。セミナ-で発表した研究論文集はすでに出版されている。
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