研究課題/領域番号 |
63041101
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
板倉 英世 長崎大学熱帯医学研究所, 病理学部門, 教授 (00010512)
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研究分担者 |
NOAH O. Kami ケニア国保健省, ケニア国リフトバレー州総合病院, 州管轄病理医
鳥山 寛 長崎大学, 熱帯医学研究所・病理学部門, 講師 (00108359)
KAMIDIGO Noah O. Riftvalley Provincial General Hospital, Republic of Kenya
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1988年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | カポシ肉腫 / 後天性免疫不全症候群 / AIDS / 欧米古典型カポシ肉腫 / アフリカ流行病型カポシ肉腫 / AIDS流行病型カポシ肉腫 / アフリカ / 地理病理学 / バーキットリンパ腫 |
研究概要 |
調査研究の目的 カポシ肉腫(KS)(Kaposi,1872)は後天性免疫不全症候群(AIDS)の患者に高率に併発する皮膚及び軟部組織病変として重要であるので、以下の諸点を解明する。 1)欧米古典型、アフリカ風土病型、AIDS流行病型などさまざまな病態像を示すKSについて、地理病理学的及び病理形態学的に検索し、それら各型のKSについて分布と病態像の特異性(疾患としての特徴) 2)発生要因の検索:AIDSウイルス(HIV)、サイトメガロウイルス、その他のウイルスや原虫などによる感染症、地理的環境、人種(素因)、人類生態、民族移動、免疫不全、臓器移植、リンパ腫などとの関連性 3)以上のことからKSの本態の把握 研究実績の概要 1.欧米古典型:アメリカ合衆国では白人の高年男子に多く、また生活背景は一般市民と特に異なったことはないように思われた。 2.アフリカ風土病型:赤道アフリカではKSはバーキットリンパ腫と地理的分布が一致し、両疾患とも年間平均気温26℃以上、年間降雨量1,000mm以上の高温で比較的湿潤な熱帯サバンナあるいは熱帯高地に多く発生する。また同様な地域あるいは自然環境のもとで同様な風俗習慣を以って生活する特定の部族に多く発生するようである。それらの地域においては熱帯熱マラリアをはじめ各種の感染症が風土病的に存在し、さまざまな病原体の絶え間ない感染が個体の免疫能に諸種の影響を与えていることが容易に想像される。アフリカ原住民における両疾患の発生には遺伝的要因あるいは素因よりも、何らかの共通した環境因子や生活様式に関する因子がより強く関与しているものと思われた。 3.AIDS流行病型:アメリカ合衆国において観察し得た約50例のAIDS患者のKSについては、年齢は20ー50歳で、凡て男性同性愛者であった。 4.病変の性質と病理組織像:欧米古典型では血管成分の増生と紡錘形細胞の増生とが見られるが、何れも異型性の程度は比較的軽い。アフリカ風土病型のうち定型的な成人型の病変では、非特異的肉芽組織(非特異的炎症像)様の病変、血管肉腫類似病変、線維肉腫類似病変、などの病変を示す。小児型では多くの場合リンパ節に発生するが紡錘形細胞の増生がAIDS流行病型に比べより顕著である。AIDS流行病型では欧米古典型に類似するが概して血管成分が多く毛細血管腫様の組織像を示したり、出血性であることも多い。 5.今後の課題として、これら3型のKSはそれぞれ特徴ある病態像を示すがその原因、本態、それに病態像を修飾するような要因、例えば種族的差異と遺伝的素因、人類の生態と疾患の発現様式との関連性などについてさらに検討中である。
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