研究課題/領域番号 |
63041107
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
中山 満 琉球大学, 法文学部, 教授 (30044829)
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研究分担者 |
我部 政明 琉球大学, 法文学部, 助教授 (60175297)
町田 宗博 琉球大学, 法文学部, 助教授 (10145518)
前門 晃 琉球大学, 教養部, 助教授 (60190287)
島袋 伸三 琉球大学, 法文学部, 教授 (40044862)
石川 友紀 琉球大学, 法文学部, 教授 (10044843)
GABE Massaki College of Law & Letters Associate Professor
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
15,500千円 (直接経費: 15,500千円)
1989年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1988年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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キーワード | 南米 / 沖繩 / 移民 / 日系人社会 / 海外移住 / 集団形成 / 職業選択 / 空間移動 / Spatial movement |
研究概要 |
南米の沖繩県出身移民及び他府県出身移民の移住地における自然環境、職業の選択と定着の仕方、経済活動、集団の形成及び文化の受容と変容、国際関係の展開構造の実態を把握し、日本移民の本質を明らかにするため、第3次調査の調査を行った。その研究成果は以下のとおりである。 昭和63年度の調査(第1回目)は、調査隊共同調査として移民個人面接調査と隊員各人の専門分野ごとの個別研究調査を実施した。アルゼンチンとペル-では、戦後渡航した一世移民を対象とする個人面接と個別研究調査として移民の居住地及び集団の形成、職業の選択、農業の自然環境調査及び資料収集、また、ブラジルでは個別研究調査のみ前述と同様な内容の調査及び初期移民の集団居住地の調査を実施した。 第1回目の調査(アルゼンチン・ペル-・ブラジル)で知見したことは、沖繩移民社会は郷土における血縁・地縁を機軸に社会集団が形成され、居住地及び職業の選択、社会生活等も強く影響を受けて特定地域に居住し、特定職業に偏る傾向があることの実証的確認である、また、移民の後継者二世・三世等は、一世の異国での生活の知恵としての血縁・地縁を基盤とする共同体的生活行動を必要としないことから、時代の経過と共に現地社会と融合し、反面、一世の築いた独特の移民社会が崩壊しつつあり、祖国日本への対応も一世のもつ故郷感とは異なる国際化時代を反映した新たな展開を示していることも判明した。 平成元年度(第2回目)の調査(ボリビア・ブラジル)では、沖繩県出身と他府県出身移民の調査、集団形成と移民の二世・三世など後継者の調査を行った。集団形成についてみると、出身府県別の組織をもち、それを統括する上部機関としての日本人会をもつ。中でも、沖繩県出身移民の組織は大きく、その下部組織として市町村人会及び字人会をもつ事例も多く、その存在は、他府県の移民社会の場合に比べて異質であることが知見された。また、沖繩県人会の場合には中央に会館をもつと同時に、地方にも支部組織と会館施設をもち、それぞれの居住地においても年間をとおして各種の行事を行い、親睦と情報交換の場としての機能を果たすなど後継者である二世・三世の若い層を含めて日系人社会の中でも際だって強い団結心を発露している。一方、この2・3年、日本の経済力の伸長と好景気に対して、南米諸国の超インフレ-ションなど経済の疲弊状態を反映して、日系人の日本への出稼ぎが急増している。その為、現地日系人社会の諸機能の維持が困難となりつつある現象が検証された。かつて相対的な高度経済を反映するかのように日本移民が目指した従来の南米諸国とは裏腹に、一世のこと志と異なり、世代の交代とともに時代を反映して祖国日本に逆海外出稼ぎ現象が発生し、今や南米の日系人社会は移民社会としての意義が大きく変わりつつある。 今後の課題として、これまで当法文学部地理学教室を中心に経済学・経営学(情報管理)・政治学(国際関係論)の応援を仰いで研究調査を進めてきたが、今後は国際化時代に鑑み、また、現地沖繩移民社会から調査の継続の強い要望もあることから、更に沖繩を起点とする人々の居住の領域拡大としての海外移住という観点がら、調査研究の継続と多くの分野からのアプロ-チが望まれる。また、単に移民のレベルにとどまることなく、その後継者である二世・三世などの社会にも踏み込んで検討することも肝要であるように思われる。
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