研究課題/領域番号 |
63041114
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
劉 進慶 東京経済大学, 経済学部・教授, 学部長 (30096458)
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研究分担者 |
村岡 輝三 新潟大学, 経済学部, 教授 (60089977)
隅谷 三喜男 社会保障制度審議会, 会長 (80012095)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1988年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | NIEs(リートルドラゴン) / 人的資源 / 中小企業問題 / 家族的経営 / 模倣技術 / DEM生産 / 官僚主義経営 / 労働組合運動 |
研究概要 |
1.ニックス化の原動力 台湾の経済発展を支えているのは、豊かな人的資源である。それはたんに人口が多いとか、低賃金労働が豊富にあることを意味するものではなく、高いレベルの教育とその普及、そして一人ひとりの人間が営利的行為にきわめて積極的である行動様式に由来する。そのため庶民生活に活気があり、社会全体に活力がみなぎっている。家族的経営を中心とした中小企業の活力と発展、労働者の高い労働意欲はいずれもこのような人間の生活態度から生れた旺盛な生活力を背景にしている。これが台湾がNICs化した原動力である。 2.中小企業の発展 訪問した企業の範囲内でみるかぎり、聞きしに勝るパーフォマンスを示している。新進気鋭の企業主、それもほとんどが40才前後、出身、経歴はさまざまであるが、経営能力の資質はかなり高い。夫婦、家族中心の経営形態が多くみられ、製品は輸出指向で、家族経営の強みを発揮している。 模倣技術が優れており、日本からかなりの技術を移転している。そのなかに企業主が企業に長年勤めたあと、身につけた技術をたよりに独立して企業を起したのがいた。いわゆる技術のスピンオフのケースである。一般的には、日本から設備、製品を輸入して製造技術を模倣することに成功したケースが多い。技術移転の面では、日本との関係は確かに深い。しかし、それなるが故に、自己開発技術に乏しく、R&D投資も乏弱である。そのなかでも少数例外的に尖端技術を追求している企業がある。大学のクラスメート数人で組織された化学会社である。このような企業が増えるか否かが、今後の発展動向を占う鍵である。 3.大企業の実情 大企業のトップにあるのは、主として官営企業であるが、見かけほどには活気がない。官僚主義経営を克服できるかどうかが、いぜんとして重要課題であるが、その見取しは必ずしもたっていない状況にある。 民間に大企業は、ほとんどが外資と緊密に提携している。その理由の一つが自己開発技術をそれほどもたないからである。この点は中小企業と共通している。同時に企業の系列化や下請制度も発達していない。輸出の場合、大企業であっても自己ブランド製品は少なく、DEM生産に依存しているケースがみられた。 4.日系企業の進出状況 労働集的型の輸出加工業への進出が典型的パタンである。近年の賃金上昇プレッシャーに対して、設備投資による合理化と技術導入で対応している。経営管理が行き届いており、労務管理や雇用制度、賃金水準も労働事情の新しい情勢を先取りして改善している。したがって投資が増え続け、経営状態も概して良好である。 5.労働事情 労働力不足がきわめて厳しく、労働組合運動の激化の影響もあって、賃金は著るしく上昇している。低賃金の比較優位は急速に喪失しつつあり、台湾経済はまさに大きな転換期を迎えている。 6.台湾経済に関するアンケート・聞き取り調査報告(添付資料5)
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