研究課題/領域番号 |
63041116
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
中村 武久 東京農業大学, 農学部, 教授 (60078136)
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研究分担者 |
サニット アクソーンケオ カセサート大学, 林学部, 助教授
ブッハ゜ トハ゜ークンジャル コンケン大学, 農学部, 助教授
チャイタート ハ゜イリント コンケン大学, 農学部, 助教授
成岡 市 東京農業大学, 農学部, 助手 (70211448)
吉澤 健 東京農業大学, 農学部, 助手 (40158423)
佐々木 寧 埼玉大学, 経済短期大学部, 助教授 (90162388)
木村 真人 名古屋大学, 農学部, 助教授 (20092190)
足立 忠司 岡山大学, 農学部, 教授 (20012007)
檜垣 宮都 東京農業大学, 農学部, 助教授 (50078143)
AKSORNKOAE Sanit Faculty of Forestry, Kasetsart University
TOPARK-NGARM Bubpha Faculty of Agriculture, Khon Kaen University
PAIRINTRA Chaitat Faculty of Agriculture, Khon Kaen University
KIMURA M. Faculty of Agriculture, Nagoya University
SASAKI Y. Junior College of Economics, Saitama University
HIGAKI M. Faculty of Agriculture, Tokyo University of Agriculture
ADACHI T. Faculty of Agriculture, Okayama University
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
22,500千円 (直接経費: 22,500千円)
1990年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
1989年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1988年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 塩性土壌 / 塩性植物 / マングロ-ブ植物 / PH値 / EC値 / アンモニア酸化菌 / 亜硝酸酸化菌 / 農業林 |
研究概要 |
<塩性土壌地の指標植物と群落遷移> タイ国北東内陸部に位置する、コンケン周辺での強塩性土壌地では、有刺低木群落のAzima sarmentosa,Maytenus mekongensis群落、Pluchea indica群落,多肉質葉を持つGisekia pharnacioides群落,Massia triseta群落,Synostemon bacciformis群落などの草本植物群落が特徴的に発達、塩性土壌地帯での指標植物となっている。この土壌の塩性化と植生の退行変化は、森林の過度の伐採、岩塩利用の製塩などの人為的操作によって生じたものである。この地方本来の植生は、D.tuberculatus,D.obtusifolius,Shorea obtusaの乾燥落葉樹林で、一部常緑樹林のDipterocarpus alatus林、低木林では、Helictres lanata群落などがあることが現地調査で明らかとなった。そのため、適切な土壌の理化学性の改良を施しながら、植生導入の初期にマングロ-ブ種を利用することにより、植生遷移の進行速度を早め、将来像として塩集積を抑える樹林と農用地との、調和のとれた利用形態を確立するという方向性が提示された。 <塩性土壌の理化学性> 塩性土壌地の土壌の理化学性を的確に捉えるため、森林、草地、裸地など植生のタイプの違いに応じて、土壌断面構造、各層位でのPH、EC値、水分分布をオ-ガ-法で採土し、分析、計測した。雨季と乾季との変化にも対処し、月間雨量を計測と平行しながら計測を進めた。年間降雨量は858.8mm(1989年)で、降雨は、5月から10月に集中し、11月から2月の間は、雨量0の状態になる。PH値は、雨季と乾季ではそう大きな変化はない。一般に樹林地では低く、草地では、8月ー1月下旬にかけてPH6以上で、1月から2月下旬にかけてはPH4.5ー5と低下する。その後、4月下旬にかけて回復するが、PH5.5ー6の間に分布する。裸地では、PH4ー5の間に分布より低い値となっている。EC値では、草地1月下旬から2月下旬にかけての0.3ー0.4mS/cmを除けば、0.02ー0.1mS/cmに分布、安定している。しかし、裸地では、雨季の8月中旬ー9月中旬にEC0.1ー0.6mS/cmの値に分布するが、降雨の少ない乾季では、特に表層10cmのEC値は高くなる。含水比でみると、雨季の間は、表層から30cm程度までは、草地の含水比が高い。それ以深では差がない。 <塩性土壌の生物活性> 塩性土壌中の微生物数、呼吸活性が対照土壌に比較して低く、特に乾季に低い。また、亜硝酸酸化菌(NO2 → NO3)は多数存在するものの、アンモニア酸化菌(NH3 → NO3)がほとんど存在せず、硝化活性が極めて低い状態にある。このままの状態で、PHの調整や、微量元素の添加などによる単なる化学的土壌改良では、効果的改良とはならないことが明らかとなった。こうした塩性土壌地で生物活性を高め、土壌改良を進めるには、草本群落の導入では効果はなく、硝酸菌活性のある低木群落段階の植生の導入が必要である。 <塩性土壌の改善とマングロ-ブ植物の移植実験> 塩性土壌地では、土中で鉄、マンガンの集積層が生じ、根に有害に作用する他、表面が多孔質構造の硬いクラストを形成、水分と養分の透過が妨げられている。したがって実験ではクラストを人為的に破壊し、籾殻、砂利、肥料を様々な割合で混入することによって、物理化学性の改良を施した土層改良圃場を造成した。ここに植生導入の最初の呼び水として、耐塩植物である数種のマングロ-ブ植物の移植実験を行った。その結果純マングロ-ブのヒルギ科植物の生育は難しいが、土層改良区での準マングロ-ブ植物、および、従マングロ-ブ植物のXyloーcarpus granatum,Excoecaria agallocha,Melaleuca leucadrendronがそれぞれ年間2m,2.5mに生長、およびExcalyptus sp.では3mにまで生長、同時に土壌中のEC値の低下が認められ、塩性土壌地植栽に有効であることが確められた。
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