研究課題/領域番号 |
63041119
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 大阪芸術大学 |
研究代表者 |
森 淳 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (40073168)
|
研究分担者 |
下休場 千秋 大阪芸術大学, 芸術学部, 講師 (20196570)
井関 和代 大阪芸術大学, 芸術学部, 助教授 (60073285)
|
研究期間 (年度) |
1985 – 1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1988年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
|
キーワード | 工芸文化 / 物質文化 / 伝統 / サヘル / ギニア湾沿岸 / 赤道アフリカ / 民族技術 / サバンナ |
研究概要 |
この研究は昭和60年度一般研究Cを対象とする文部省科学研究費補助金を授与されて開始したもので、昭和60年より平成元年度までの5ケ年計画でおこなったものである。その間2度の海外学術調査をおこなった。 アフリカにおける手工芸も、世界の趨勢にしたがって、次第にその技術がうしなわれようとしているのが現状である。したがってこの調査研究では、特に伝統的な手工芸技術がいまだに多く残されている地域として西アフリカ、特にギニア湾沿岸文化領域を調査研究の対象地域として選んだ。 研究者の構成は、昭和60年度に一般研究として発足した当初の研究者3名によって構成した。つまり工芸を専門とする2名、環境計画を専門とする1名の計3名の者によって海外学術調査を含めて、伝統工芸技術の伝承、伝播、推移等についての研究をおこなった。工芸を専門とする2名は、土器及び金属器の製作、またその他生活用具等の製作とその使用法、儀礼に関するもの等の調査。染色、織りなどに関する繊維工芸、またそれに関連して衣服等の調査を分担しておこなった。またこれらの伝統工芸技術については、ともに技術の習得にも心掛け、西アフリカ・ギニア湾沿岸文化領域につたえられている伝統工芸の本質にせまることを目的とした。 現在ではアフリカで伝統工芸に携わる人々の年齢層は平均して高年令の人が多く、土器のように現在では次第に使われなくなった職種では後継者不足の状態にあることが現地調査を通じてわかってきた。 1。土器、金属器、生活用具等。 これらのものに関する調査研究は、マリ、ガ-ナ、カメル-ン、ト-ゴの4ケ国においておこなった。調査は予備調査、本調査の2回に分けておこない、生計から完成、流通、使用法等一貫した調査と、また技法の習得にもつとめた。現在これらの工人集団では、鋳造を除き後継者の不足に直面している。原因として考えられることはプラスチック製品の浸透によって、生活の形態が変化してきたことにある。また堅牢なプラスチック製品に比べて土器の脆さにも原因があり、その上若者たちの都会指向なども原因の一つになっているものと思われる。金属器はカメル-ン、ガ-ナの2ケ国でおこなった。古代ベニン王国の伝統をひく金属鋳造の技術は、現在は観光客を対象とした産品を生産することによって維持されているのが現状である。経済的にも恵まれているので後継者の心配はないようである。 2。染織、衣服等。 研究分担者(井関)によってカメル-ン、ト-ゴ、ザイ-ルの3ケ国で調査研究をおこなった。特に西アフリカもギニア湾沿岸は、ラフィア・ヤシ文化圏と考えられるほど、生活の中にラフィア・ヤシの占める部分が多く調査研究の主体をラフィア繊維による染め織りにおいた。伝統的な部族社会では、その成員の構成や組織が部族の人々によって使われたり保持される物によって手掛かりが得られることがある。特にカメル-ン・バメンダ高原の調査では、ラフィア繊維によるバッグに象徴性があることが調査の結果わかってきた。またザイ-ル・クバ族の調査では、従来我が国で草ビロ-ドと称されるものについて調査を行ない意匠、製作技法などの解明をおこなった。 ガ-ナでは、アシャンテ族のケンテ・クロス、アジンクラ・クロスの製作者について技法、紋様の意味と象徴性等について調査をおこない成果をあげることができた。 3。伝統的生活環境と住居 研究分担者(下休場)によってマリ、ガ-ナ、カメル-ンで調査をおこなった。特にカメル-ンでティカ-ル族の伝統的住居の様式と建築法の調査に重点をおき、バメンダ高原地域のラフィア・ヤシ文化圏の諸部族の住居と比較し、近縁にあるバム-ン族、バミレケ族との間にも同様の特徴的な様式があり、そのことから生活関連施設について分析することができた。
|