研究課題/領域番号 |
63041123
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 高エネルギー物理学研究所 |
研究代表者 |
菅原 寛孝 高エネルギー物理学研究所, 所長 (70015767)
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研究分担者 |
宗久 知男 山梨大学, 工学部, 講師 (30174254)
加藤 潔 工学院大学, 一般教育部, 助教授 (50152707)
中沢 宣也 工学院大学, 一般教育部, 教授 (50100342)
五十嵐 正敬 東海大学, 理学部, 教授 (90147116)
日笠 健一 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (20208739)
金子 敏明 明治学院大学, 一般教養部, 講師 (40177522)
萩原 薫 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (50189461)
東島 清 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (10092313)
清水 韶光 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 教授 (20011744)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | LEP / ジェット / ニュ-トリノ数 / 弱電磁理論 / 〓射補正 / ファインマン図 / 偏極非対称性 / 超対称性理論 |
研究概要 |
本研究が開始された昭和63年度は、我国のTRISTANによる実験が順調に進み、翌平成元年夏にLEPの実験が開始され、現在までにZボゾンの性質が、ほぼ標準模型の予言する通りであることが確認された。この過程で、新しい物理、新現象の究明の為には弱電磁理論の〓射補正をふまえた精密な測定が不可欠であることがますます明らかとなり、我々の研究の方向性の正しさが確認された。 初年度及び第二年度の研究課題は、主にQCDジェット現象のより定量的な取り扱い法の開発、そしてニュ-トリノ数測定過程に対する〓射補正の計算等であった。これらの研究成果は全て既に論文として公表され、実際のLEP実験において活用されているばかりでなく、我国のトリスタン実験にも活かされている。 最終年度となった本年度には、本研究の最も重要な課題であった弱電磁理論の高次過程の計算法に関する新しい成果が、金子により、CERNの研究者に供された。中心となるのは、摂動計算で必要となるファイマン図を自動的に生成するプログラムで、現在までに1ル-プのレベルでの自動生成が可能となった。数百から数万にも及ぶファインマン図を直接数値的に処理することは因難である為、基本的な2点及び3点項の補正を除いた全体的な構造のみを生成するプログラムが新しく開発された。この点に関する研究成果は現在発表準備中である。 次に、生成されたファインマン図をもとに、自動的に散乱振幅を計算するプログラムが開発された。このプログラムは、弱電磁理論に限らず、カラ-の自由度を自動的に解析することによりQCDの高次過程に対しても適用可能である。この点に関する研究成果は、New Computing Techniques in Physics Research(Editor du CNRS,1990)p555ー564に公表され、更に、1990年5月Dubnaで開かれた、第4回International Conference on Computer Algebra in Physical Researchに於いて金子により口頭発表された。これらの新しい成果の基礎となる数値計算法及び具体的な反応への応用に関する研究成果は、論文としてComput.Phys.Commun.誌に掲載予定である。 一方新現象の研究に関しては、ますますLEPに於ける精密実験の重要性が増大し、新しい物理の効果をも含んだ〓射補正の計算が求められている。萩原はまず、弱電極理論の精密測定に最も有効だと考えられているタウ粒子の偏磁非対称性の測定精度を改良する、理論的枠組みを開発し、その成果をPhys.Lett.誌に発表した。この方法はタウ粒子の崩壊で生成されたロ-メソン偏極測定を利用するもので、現在LEPの実験家によって真剣にその活用が検討されており、更なる改良の可能性についての要望を受けた。次に、現在のところごくわずかに標準模型の単純な予言よりも大きいと思われる、Zボソンの崩壊巾を説明する一つの方法として、超対称性粒子による〓射補正の効果が考えられることを指摘し、結果をやはり、Phys.Lett.誌に公表した。更に詳細にわたる超対称性粒子の〓射補正への効果の総合的な解析が現在進行中であり、近く論文として公表される。
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