研究課題/領域番号 |
63041125
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国立教育研究所 |
研究代表者 |
川野辺 敏 国立教育研究所, 生涯学習研究部, 部長 (10000001)
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研究分担者 |
相良 憲昭 国立教育研究所, 企画調整部, 室長 (90170620)
渡辺 良 国立教育研究所国際研究, 協力部, 主任研究官 (30141980)
樋口 信也 国立教育研究所国際研究, 協力部, 室長 (40132691)
金谷 敏郎 国立教育研究所国際研究, 協力部, 室長 (60000064)
市川 昭午 国立教育研究所教育政策研究部, 部長 (00000050)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1989年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1988年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | 教育協力 / 教育援助 / 政府開発援助 / 国際機関 / 世界銀行 / アジア・太平洋諸国 |
研究概要 |
本研究は、教育の分野における国際協力・援助の実態をアジア・太平洋諸国6か国の現地調査をもとに分析的に研究し、教育協力・援助の在り方に考察を加えようとしたものである。現地調査は、タイ・ネパ-ル、ニュ-ジ-ランド・フィジ-、およびインドネシア・フィリピンのそれぞれ2か国ずつ3班に分かれて実施した。 教育協力・援助に関する様々な機関を訪問し、関係者との面談を行なうことを通して公の文書として公表されていない援助・協力の実態および評価に関する貴重な情報を得ることが出来た。特に、協力・援助を受けている国の行政側あるいは公的立場としての評価と、プロジェクト等の現場の責任者・担当者等の間の評価のずれが見受けられたり、国際機関等の援助・協力提供側と援助・協力を受ける側の間にも協力・援助の現状に対する認識のずれが見受けられたりと、教育協力・援助のあり方を左右するような興味深い情報を得ることが出来た。 調査国において国際教育協力・援助事業の効果について聞くと、概して肯定的な答が返ってきている。また、協力・援助事業についての評価、モニタ-の仕組みも一応それぞれ設けられている。受け入れ側は協力・援助を提供している側に率直に意見を表明しにくいという事も考慮に入れなければならないが、全体としては国際教育協力・援助事業は受け入れ側に歓迎されている、という事はいえるようである。諸外国における国際教育協力・援助事業の評価は、評価の技術的側面だけでなく、政治的側面においてもむずかしい問題を包含している。学校などの施設設備を建設するという協力事業についても、予定していたとおりの建物が出来たかどうかという評価は簡単であるが、出来上がった施設設備が所期の目的どおりに活用され成果を上げているかについては、測定しにくいものがある。特に、その施設建設が教育以外の要因に左右されて要請されたものである場合には一層むずかしくなる。 今回の現地調査から明らかとなった、国際教育協力・援助事業の特徴としては以下があげられる。 (1)国によって、特定の国あるいは国際機関からの協力・援助が集中するというように協力・援助提供側のプレゼンスの違いが認められる。 (2)国によって、初等教育、中等教育、高等教育、あるいは人材育成、施設設備の建設など、国際協力・援助を重点的に受け入れている領域・分野に違いが認められる。 (3)各国とも、それぞれ外国からの協力・援助の受け入れに関する施策や執行機関・機構を持っている。 (4)アジア諸国における日本の教育協力・援助の存在はかなりなものであるが、どたらかというとハ-ド面の協力・援助が主となっている。 (5)ニュ-ジ-ランドの場合は、援助・協力の対象を近隣の太平洋諸国および東南アジア諸国に絞り、効率的・効果的援助・協力のあり方を模索している。 国によってそれぞれ教育協力・援助の扱われ方、ニ-ズ等が異なっており、今後共、他のアジア・太平洋諸国、さらには他の地域諸国の国際教育協力・援助の実態を国の教育発展のレベルと関連させて明らかにしていく必要性を痛感した。
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