研究課題/領域番号 |
63041131
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 宇宙科学研究所 |
研究代表者 |
西村 敏充 宇宙科学研究所, 衛星応用工学系, 教授 (30150048)
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研究分担者 |
水野 英一 金沢大学, 工学部, 助手 (20229701)
市川 満 宇宙科学研究所, システム研究系, 助手 (40013677)
横山 幸嗣 宇宙科学研究所, 宇宙探査工学系, 助手 (50013165)
山田 隆弘 宇宙科学研究所, 宇宙探査工学系, 助教授 (50167714)
山本 善一 宇宙科学研究所, 衛星応用工学系, 助手 (60183985)
佐々木 進 宇宙科学研究所, 惑星研究系, 助手 (00092221)
小山 孝一郎 宇宙科学研究所, 惑星研究系, 助教授 (00013730)
高野 忠 宇宙科学研究所, 臼田宇宙空間観測所, 助教授 (80179465)
広沢 春任 宇宙科学研究所, 衛星応用工学系, 教授 (50013644)
河島 信樹 宇宙科学研究所, 惑星研究系, 教授 (60013702)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
1990年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1989年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1988年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | Voyager / 海王星 / Arraying / 臼田観測所 / Multiーpath / えん蔽 / ORT / 超遠距離通信 |
研究概要 |
この日米共同Voyagerー海王星電波科学実験の目的は、Voyagerー2号が人類はじめての歴史的な海王星会合にあたって、宇宙科学研究所が、長野県臼田町に所有している64m大型トラッキングアンテナを用いて、NASA ジェット推進研究所と共同で電波が海王星の大気で屈折されることを利用した電波科学実験を行うことにあった。 第一年度(昭和63年度)は、実際の会合の1年前に当り、米国側との綿密な準備打ち合せ、リハ-サル(ORTー1、2:実際の会合の予定スケジュ-ルに合わせてVoyagerからの電波を人為的に地上から変化させ、これを地上のアンテナで受信する訓練)が行われた。特に、宇宙研側から、米国スタンフォ-ド大学やNASAジェット推進研究所での打ち合せ、準備検討は非常に有意義であった。また、デ-タ処理の準備として、研究協力者の水野がスタンフォ-ド大学に長期に滞在し、これまでのVoyagerの探査のデ-タ解析を基盤として海王星の探査のためのデ-タ解析ソフトウエアの構築作業を行ったのは、その後のデ-タ解析に大いに貢献した。 第二年度(平成元年度)は、Voyagerー海王星会合の年に当たり、前半は前年度以上に綿密な準備作業が行われた。ORTー3、4をはじめ、その間に技術的な訓練としてのOVTが、10回以上行われ、宇宙研からの研究者の米国側派遣とNASA側の研究者・技術者の来所が頻繁に行われた。 8月25日の電波科学観測は、成功裡におこなわれ、歴史的に貴重なデ-タが得られた。年度の後半は、デ-タ解析が集中的に行われ、海王星の大気の密度、温度などの大気構造に関する貴重なデ-タが得られた。また、電離層の密度の計測や、海王星の衛星のトリトンの大気の密度の上限も得ることができた。これらの成果は、一部サンフランシスコ地震の影響を少し受けたが、2回にわたって行われたデ-タ検討会で報告された。 第三年度(平成2年度)は、前年度に引き続き、Voyagerー海王星会合の際に宇宙科学研究所臼田深宇宙観測所の64Mトラッキングアンテナを用いて得られたデ-タの解析を行い、NASAジェット推進研究所、スタンフォ-ド大学の共同研究者たちとの討論/検討、国際学会などでの成果発表を行った。 具体的には、昨年度の基本的な大気分布の解析を基盤として、NASAジェット推進研究所(JPL)からの軌道デ-タなどを振るに活用して、この日米国際共同研究の主目的であるArraying(NASA キャンベラ観測所、 オ-ストラリヤ パ-クス天文台で得られたデ-タを重ね合わせて、デ-タのS/N(信号対雑音)比の向上を狙う)の本格的な作業を行い、海王星の大気の擾乱のない状態では、予測どうりに約2dBのS/N比の向上を確認した。この成果は、宇宙観測国際会議(COSPAR)で並行したおこなわれたデ-タ検討会で議論されたほか、水野英一の学位論文としてまとめられている。 これと並行して行われた成果として、いわゆるMultiーpathと呼ばれる周波数が、局所的に複数に分かれる現象の解析を行った。この現象は、海王星大気の局所的な異常による複屈折を示したもので、大気に対する重要な情報を提供するものであることを示した。 本年度で、この国際学術研究と同時に、国際共同プロジェクトも一応の区切りをつけるが、わが国初めての本格的な惑星探査に参加し、世界ではじめての海王星の大気を直接探査すると同時に、超遠距離通信技術の確立がなされたことは、大いに有意義であったと同時に、今後のわが国大型惑星探査の基盤を築くことができた。
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