研究課題/領域番号 |
63041136
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
長野 秦彦 (1989) 国立民族学博物館, 1研, 助教授 (50142013)
長野 泰彦 国立民族学博物館, 第一研究部, 助教授
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研究分担者 |
永ノ尾 信悟 国立民族学博物館, 3研, 助教授 (40140959)
立川 武蔵 名古屋大学, 文学部, 教授 (00022369)
井狩 弥介 京都大学, 人文研, 教授 (40142012)
石井 溥 東京外国語大学, AA研, 助教授 (90014513)
北村 甫 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (80014455)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
30,600千円 (直接経費: 30,600千円)
1989年度: 18,600千円 (直接経費: 18,600千円)
1988年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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キーワード | 複合文化 / ア-リア文化 / 土着文化 / アジア化されたインド / インド文化圏 / サンスクリット化 |
研究概要 |
インド文化圏と呼ばれる地域は多民族・多言語社会として知られ、そこにおいて形成される文化の複合構造がその最も大きな特徴をなしている。 複合文化形成のメカニズムを考察するに当り、ふたつの極からの動きを考えることができる。一方にはM.エリア-デの言うAsianized Indiaの中核的概念に代表されるような、サンスクリット語の担い手である「上層文化」による汎アジア的な「土着要素」の消化があり、他方、逆の動きとして、民族文化を背負った層によるサンスクリット文化の模倣吸収(M.N.シュリ-ニヴァ-スの言うSanskritization)がある。 本研究では上記ふたつのダイナミックスが明瞭に観察できるガンジス河流域の複合文化の動態・文化接触・統合のメカニズムとその動因を、インド側・チベット側双方から、宗教学・文化人類学・言語学の観点から学術的に調査・研究しそれに関する資料の集積とモデル化を行なうことを目的し、2年間の調査を行った。 この結果、 イ)言語学的調査研究としては、北村・長野がインド・ネパ-ル・中国においてチベット語中央方言とヒンディ-語・ネパ-ル語・中国語、及び長野が中国四川省においてギャロン語と中国語、林が四川省西部においてチベット語と中国語との接触に伴う諸現象を記述し、従前殆ど皆無であった社会言語学的資料を得ることができた。ネパ-ルにおいては、北村がタマン語の音韻につき、また、長野がネワ-ル語の形態統辞論につき、上記と同様の記述資料を集積し、各言語の文法的記述を精密化できた。 ロ)文化人類学的調査研究としては、岩田が農耕儀礼、飯島・KARANが婚姻習俗につき、質問票を用いたガンジス河流域での広域的比較研究を行い、多くの統計的資料が集積された。これらの資料には現在電算機によって解析中である。石井・田中は人生儀礼と宗教集団につき、ビハ-ル及びネパ-ル中部で調査を行なった。 ハ)宗教学的調査研究としては、宗教儀礼における土着要素とア-リア的要素の関係を、井狩がガンジス上流域(ジャンム及びカシミ-ル)においてナ-ガ信仰を中心に、又、山下がマドラスとカルカッタにおいてシヴァ信仰を中心に、そして、永ノ尾がビハ-ルにおいてマドゥバニ絵の習俗を中心に、集中的調査を行い、土着要素の解明に著しい進展が見られた。立川は宗教儀礼の土着要素と仏教的要素との統合関係につき、主としてネパ-ル中部で局所的調査を実施し、特にネワ-ル仏教パンテオンの構造とそこに働く土着的局面の抽出に成功した。
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