研究課題/領域番号 |
63041145
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
原 ひろ子 お茶の水女子大学, 女性文化研究センター, 教授 (90120831)
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研究分担者 |
舘 かおる お茶の水女子大学, 女性文化研究センター, 講師 (50155082)
篠塚 英子 お茶の水女子大学, 家政学部, 助教授 (10196397)
田中 真砂子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (00141466)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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キーワード | 西ヨーロッパ / 女性学 / 女性学教育 / 女性労働 / 女性政策 / 生涯学習 / 開発と女性 / 女性学ネットワーク |
研究概要 |
以下に見られるような成果が得られた。 1.諸機関の訪問による女性学情報の交換と今後の交流の展望 特に以下の研究諸機関とは、今後研究紀要をはじめとする情報の交換等が約束されており、女性学を媒介とした相互の理解と交流が深められていくはずである。即ち(1)A班:ビーレフェルト大学学際的女性研究所IFF(西独)、EC本部内のヨーロッパ女性研究センター(ベルギー)、ISS国立社会科学研究所(蘭)、ロンドン大学ジェンダー教育研究所(英)など。(2)B班:ミュンヘンIFO経済研究所(西独)、連邦青年婦人省(同)、緑の党(同)など。(3)C班:ミラノ大学(伊)、エクス・アン・プロバンス大学(仏)、パリ大学(同)など。 さらに、今後の共同研究(女性学会・女性学シンポジウム・客員研究員及び客員教授などの交換等)を企画するために必要な基礎的情報も蓄積され、国際的な女性学ネットワークを強化することができた。また、欧米を中心に日本への学問的な関心が高まりつつある中で、日本の女性学に関する紹介を行い、西欧における日本への理解を深めた。 2.女性学関連文献資料の収集 (1)購入した図書は主に以下の分野のものである。即ち、女性史、ジェンダー研究、女性労働、女性と家族(働く母親と子供、パートナーシップ)、母性、女子教育、芸術、フェミニズム理論、女性政策、女性と学問など。 現地で、英文、独文、仏文、伊文の文献資料合計約1500冊を購入した。(本研究費補助金のほかに研究班員の寄贈その他の財源が充当され、主としてお茶の水女子大学に配置される予定である。) (2)尚、諸機関から寄贈を受けた資料はお茶の水女子大学女性文化研究センターと国立婦人教育会館にそれぞれ保管する。 3.西ドイツ、イギリス、ベルギー、フランスの女性学研究機関、行政機関への郵送によるアンケート調査の結果 郵送法によるアンケート調査に返答のあった諸機関からは、多数の資料が同封されていた。現在、以下のような手順で集計を行いつつある。 (1)研究機関ごとにデータ内容を整理し、比較可能な設問に関しては、一覧表による整理を行う。(2)共通して見られる女性学研究の動向、機関運営上の困難等を析出する。(3)個々の研究機関の特徴づけを行う。 (4)調査結果を報告書にまとめると共に集計データをお茶の水女子大学女性文化研究センター及び国立婦人教育会館婦人教育情報センターに納め公開する。 これらの資料は、すでにお茶の水女子大学での修士課程、博士課程の学生たちや、女性文化研究センターを利用する研究者たちが利用予約をしており、今後は広く公開されることによって女性学の研究発展に大きく役立つことになろう。 4.研究成果の報告 研究分担者と研究協力者は研究成果を論文にまとめつつある。西欧の女性学の動向及び女性学と行政の関わりに関する系統だった研究は、日本ではまだ緒についたばかりであるが、我々の研究調査作業は、今後の日本における女性学研究並びにその隣接諸分野の学際的研究の展開に新たな可能性を開く上で重要な役割を果たしはじめている。 5.お茶の水女子大学と国立婦人教育会館による共同プロジェクトの意義 女性学に関する調査を研究教育機関(お茶の水女子大学女性文化研究センター)と、国立の社会教育施設(国立婦人教育会館)が共同で実施したことには、以下のような意義が見い出される。(1)女性学研究を学術的領域にとどめずに、その成果を広く社会教育、女性政策に応用発展させている例に身近に触れることができ、今後の研究、教育、施策の課題として多大な示唆を得たこと。(2)大学を中心とする研究教育組織の形成とその推進のための方法に関しての多様な可能性を知り得たこと。 6.まとめ 今回の海外学術調査によりヨーロッパの女性学の現状に組織的にふれたことにより、日本の女性学推進の方向性に関する多大な示唆を得て、今後のわれわれの課題に対する具体的な取り組みの方法を見い出したことと、各研究分担者・研究協力者の個別の研究論文執筆に関する資料を収集し得たことの意義は、まことに大きいものであった。
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