研究課題/領域番号 |
63042004
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | がん調査 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
青木 國雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (60073102)
青木 国雄 (1989) 名古屋大, 医, 教授
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研究分担者 |
高橋 正宜 (株)エスアールエル, 八王子研究所, 所長
伊藤 宜則 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 助教授 (50087665)
佐々木 隆一郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80131241)
土橋 康成 京都府立医科大学, 助教授 (50106390)
川井 啓市 京都府立医科大学, 教授 (50079745)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
16,100千円 (直接経費: 16,100千円)
1989年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1988年度: 8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
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キーワード | 胃癌の疫学的研究 / 肺癌の疫学的研究 / カンピロバクタ-感染 / 血清ベ-タカロチン / 肺癌のスクリ-ニング |
研究概要 |
〔胃がん〕 (1)胃がんの症例・対照研究で高い相対危険度を示した塩漬けの豚肉、小塩干魚および酢で処理した麺はつよい変異原性を示した。 (2)胃がん高率地区の食生活は6年の間に著しく改善し、血中カロチン濃度も上昇した。内視鏡所見、生検所見は低率地区より病変はつよいが、5年前に比べ高率地区では改善しつつある。 (3)生検および病理所見でみるとカンピロバクタ-感染は、胃がん高率地区では胃炎で60〜70%、低率地区は10%前後であった。胃がんは全例陽性であった。生検材料よりカンピロバクタ-を培養、検討中である。 (4)前がん病変について:胃の粘膜下の毛細血管を墨汁法で検討、若年で萎縮や不規則性を認めた。 (5)人工血液を用いて中国人切除胃を体外培養し、BUdR in Vitro標識に成功した。この標本を検討中である。 (6)本研究班の協力で出来上った胃がんマ-カ-GL013(単クロ-ン抗体)は日常診断に用いうることが明らかとなった。 (7)血清α、βカロチン濃度は断面調査で緑黄色野菜摂取頻度の変化と正の相関があった。北海道の住民で1年間、両者の関連を観察したが、摂取頻度の増減と血清濃度はつよい正の相関を示し、経時的な疫学研究の指標として利用できることが確かめられた。 (8)日本で4,000例の健康住民について血清カロチンを測定し、追跡中である。 (9)中国では、約100例の慢性胃炎患者に漢方薬とビタミンを投与して、胃粘膜の変化を観察中である。 (10)前がん状態の研究:メチレンブル-を用いて内視鏡検査し、腸上皮化生の有意を検出した。その鋭敏度は97%、特異度は70%であった。これより腸上皮化生の範囲の決定やがん発生部位を検討できる。腸上皮化生進行と食生活の関連は、果物摂取が進行に抑制的に働いていた。 肉類は胃癌頻度と逆相関にあった。肉類は胃壁細胞の分化、増殖を促進することがわかった。 〔肺がん〕 (1)中国の肺がん多発地区の沈陽市および撫順市において、肺がんの病理疫学的特性を検討した。対照として日本の岐阜市における肺がんを選んだ。 中国ではより若年に患者が多く、39才以下が6.1%、60才以上が21.1%であり、岐阜ではそれぞれ2.3%と60.3%で著しい差があった。喫煙の影響は両地区ともにつよかった。 組織学的特徴としては、39才以下では岐阜は扁平上皮癌が2/3以上を占めるのに、中国では1/5前後であり、小細胞がんの比率が高かった。腺がんは同じ位の割合であった。40才以上では、両国間の差は小さい。中国の肺がんでは腺様嚢胞癌が多い傾向にあった。 撫順地区では、工場労働者に喀痰細胞診と間接胸部撮影を実施し、20例の肺がん患者を発見、X線像は日本と若干異なり腫瘍型が多かった。細胞診所見はわが国とあまり変りはなかった。現在顕微画像解析法によりDNA定量診断を試みている。 (2)症例、対照研究を実施、現在100症例、200対照について集計解析中である。
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