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南半球極地域の永久凍土の形成とそれに及ぼす気候変動の影響

研究課題

研究課題/領域番号 63043003
研究種目

海外学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関北海道大学

研究代表者

福田 正己  北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (70002160)

研究分担者 AUTURO E. Co  アルゼンチン雪氷学研究所, 教授
小泉 武栄  東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30114812)
小元 久仁夫  日本大学, 文理学部, 助教授 (10004392)
野上 道夫  東京都立大学, 理学部, 教授 (50087144)
CORTE A.E.  Instituto Argentino de Nivologia y Glaciologia
研究期間 (年度) 1987 – 1988
研究課題ステータス 完了 (1988年度)
配分額 *注記
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
キーワード永久凍土 / 最終氷期 / 活動層 / 氷楔 / 地下氷 / ツンドラ構造土 / 凍結割れ目
研究概要

1.南極半島地域マランビオ島付近の地質と地形について
(1)調査地域(マランビオ島)の基盤地質について 本項目については、アルゼンチン側分担者と研究協力者が現地調査を分担した。マランビオ島は南北2つの島が中央部で結合した形をとるが、これは基盤地質の違いを反映している。南側は中生代白亜紀の泥岩・礫岩から成立ち、陸生の植物化石を含んでいる。北側は新生代第3紀中期の泥岩からなり、貝化石を多く含むことから海成層であることがわかる。今回の調査では、この両者の明確な不整合を確認した。
(2)調査地域(マランビオ島)の地形の概要について 本項目については、アルゼンチン側研究分担者と国内分担者とが、予め入手した航空写真を用いて地形判読と1級図化機による地形図の作成を行った。その結果、大きく3段の海成段丘から成り立つことがわかった。また、段丘堆積物の解析と比較から、いずれも侵食段丘であり、南極氷床による侵食を受けていないことが判明した。
2.マランビオ島の永久凍土について
(1)地球物理的探査による永久凍土の垂直的分布の決定 永久凍土の深さを推定するために、地震探査と大地比電気抵抗探査を行った。弾性波による永久凍土深さの推定では、表層の夏融解層が最大で1.2mであること、少なくとも60m以深にまで凍土層が存在することが分かった。測線を2000mまで延ばして行った直流電気比抵抗探査によれば、最上位段丘(Meseta 比高200m)では永久凍土深さは128m、中位段丘(Sub-meseta 比高60m)では44m、沖積の海岸段丘(Larsen 比高5m)では28m深さであることが推定され、以前に推定された200mよりもやや永久凍土が浅いことが分かった。また、地表面から20m位置には、堆積物中に高塩分の層があることも分かった。この成因は後に述べる氷楔に含まれる塩類集積とも関連し、マランビオ島にのみ見られる現象である。
(2)永久凍土中に形成された永楔(Ice-Wedge)について 最上位の段丘面(Meseta)上には、北極の永久凍土地域に発達するツンドラ構造土に類似した網目構造が観察される。この正確な分布と微地形を測量した後、基盤の第3紀層を掘削して地下に形成されている氷楔を調査した。従来北極を含めて基盤に入り込んで氷楔が形成されている報告はなされていない。永久凍土を構成する土質がシルトー粘土の場合には、その熱的性質と力学的性質から判断すると、冬の強い冷却で、凍土に深い割れ目が生ずることはよく観察されている。これに比べて基盤岩石のせん断強度ははるかに大きく、発生する割れ目の幅は小さくなる。楔の頭部(最上部)の幅は約40cmで、北極の場合に比べると1/10以下である。楔の長さは180cmあり、途中氷の構造には粘土質の割れ目が入るなどの複雑な様相を呈する。
(3)氷楔に含まれる塩類について 氷楔の氷を融解させてその化学組成について分析を行った。表面から80cmまでではCaイオンの集積があり、150cmー180cmではNaイオンの異常な集積が見られた。濃度で比較すると海水の数分の1にも達することが分かった。こうした異常な塩類集積は、南極のドライバレーでも観察されているが、氷楔中に塩類集積しているのはいままでに報告がない。年間を通じて乾燥しており、堆積物からの溶脱も生じにくい状況であり、しかも氷の境界に集積していることから、ある時期に現在よりも湿潤で温暖な気候条件での溶脱を仮定する必要がある。現在の気候環境下での凍結による割れ目の発生を確認するため、地上パターンの精密測量と基準点を設けてあり、次回の調査で再測する予定である。
3.関連する気候条件
(1)マランビオ島の気候条件の特徴 現地での気象観測等から次のような気候の特徴を挙げることが出来た。周辺海域(ウェッデル海)では1年のうち約10ケ月は海氷に閉ざされている。このため、夏の気温が低く抑えられており、年平均気温は-9.5℃となっている。北極と比較するなら連続的永久凍土地域に対応することが分かった。

報告書

(1件)
  • 1988 研究成果報告書概要
  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] 福田正己,野上道男,小元久仁夫,小泉武栄: 極地. 47. 73-79 (1988)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1988 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 福田正己,野上道男,小元久仁夫,小泉武栄: 極地. 48. 52-58 (1989)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1988 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 福田正己,A.コルテ,J.ステレリン: 日本雪氷学会講演予稿集. 96 (1988)

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      1988 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 福田正己,A.コルテ: 第9回南極地学シンポジウム講演要旨集. 28-29 (1988)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1988 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 小泉武栄,福田正己: 第9回南極地学シンポジウム講演要旨集. 30-31 (1988)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1988 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 小元久仁夫: 第9回南極地学シンポジウム講演要旨集. 32-33 (1988)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1988 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] M. Fukuda; A. Corte: "A preliminary report of field studies on permafrost Marambio island, Antarctica" Proc. NIPR Symp. Antarct. Geosci.In press. (1989)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
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      1988 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] T. Koizumi; M. Fukuda: "Ice-wedge formation in Marambio island, Antarctica" Proc. NIPR Symp. Antarct. Geosci.In press. (1989)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
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      1988 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] K. Omoto: "Coastal land forms in Marambio island, Antarctica" Proc. NIPR Symp. Antarct. Geosci.In press. (1989)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1988 研究成果報告書概要

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公開日: 1988-04-01   更新日: 2016-04-21  

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