研究分担者 |
SHOCH Bertho ボン大学, 理学部, 教授
THOMPSON Max メルボルン大学, 理学部, 教授
前田 和茂 東北大学, 教養部, 助教授 (20125652)
寺沢 辰生 東北大学, 理学部, 助手 (40004436)
鳥塚 賀治 日本大学, 原子力研究所, 教授 (10004235)
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研究概要 |
1.研究実績 本補助金が交付された期間(昭和61年度〜昭和63年度)に行われた東北大学とメルボルン大学との「電子及びガンマ線による原子核研究」に関する共同研究は以下の通りである。 (1)昭和61年8月〜10月 G.O'Keefe、R.Rassool、M.Thompsonの3名が東北大学に滞在し、^9Be(γ,n)反応の共同実験を行った。 (2)昭和61年12月 東北大学から武田暁、寺沢辰生の2名が共同研究に関する協議のためメルボルン大学に滞在、P.Hartyの博士論文の指導を行うと共に、東北大学理学部とメルボルン大学理学部間の学術交流協定締結の交渉を行った。この学術交流協定は昭和63年3月に発効した。 (3)昭和62年2月〜3月 J.Eden、D.McLean、の2名が東北大学に滞在し、偏極標識光子を用いた^<12>C(γ,p)反応の共同実験を行った。 (4)昭和62年7月〜9月 J.Eden、D.McLean、M.Thompsonの3名が東北大学に滞在し、^<40>Ca(γ,n)反応の実験を行った。 (5)昭和62年11月 東北大学から鳥塚賀治、玉江忠明、前田和茂の3名がメルボルン大学に滞在し、共同研究に関してメルボルン大学側と協議した。 (6)昭和63年1月〜 学術交流協定に基づき、メルボルン大学からD.McLeanが国費留学生として15ケ月間東北大学に滞在し、^4He(γ,n)、^<6,7>Li(γ,p)反応の共同研究を行った。 (7)昭和63年8月〜10月 R.Rassool、A.Bates、M.Thompsonの3名が東北大学に滞在し、^4He(γ,n)の実験を行った。 (8)平成元年2月 M.Thompsom(メルボルン大学)、B.Schoch(ボン大学)、有馬朗人(東京大学)、本間三郎(東大核研)、鳥塚賀治(日本大学)、武田暁(東北学院大学)を招いて東北大学理学部原子核理学研究施設において、「連続電子線による光核反応」研究会を国際会議の形で開催し、本海外学術調査研究の総括を行った。本研究会には米国、CEBAF研究所所長のH.Grunderからも論文が寄せられた。 2.研究成果 本共同研究は、巨大共鳴以上、パイ中間子生成閾値以下のエネルギー領域における光核反応機構を追求し、核内の2核子相関の重要性を明らかにすることを目的としている。本補助金の期間内に以下の重要な知見が得られた。 (1)準重陽子相関 原子核内に準重陽子相関が存在することが、(γ,p)、(γ,n)、(γ,pn)反応を通じて確かめられた。また、準重陽子は自由な重陽子と異なり、純粋なS-状態にあることが偏極標識光子を用いた実験により初めて明らかにされた。 (2)直接1核子放出過程 残留核を基底状態にのこす反応は直接1核子放出過程によって起こることが初めて確認された。これに伴い、核内の陽子の高運動量成分が実験的に求められ、Li核では1s-殻が^4Heと同じ構造を持っていることが初めて明らかにされた。 以上の研究により、この期間内に、東北大学3名、メルボルン大学1名の博士学位取得者が生れ、尚メルボルン大学では4名の学生が博士論文を準備中である。 3.将来の展望 東北大学とメルボルン大学の理学部間には学術交流協定が結ばれており、今後も東北大学理学部原子核理学研究施設現有の設備を用いて共同研究を続けると共に、核理研将来計画によるより一層の研究の発展を期待している。
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