研究課題/領域番号 |
63043009
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
林 一六 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (80015586)
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研究分担者 |
加藤 龍夫 横浜国立大学, 環境科学センター, 教授 (10019036)
鈴木 和雄 東京都立大学, 理学部, 助手 (50187712)
寺田 美奈子 神田外語大学, 外国語学部, 助教授 (80063733)
高橋 竹彦 神戸大学, 農学部, 助教授 (20031221)
中村 徹 筑波大学, 農林学系, 講師 (60015881)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 内蒙古草原 / 植物群落 / 植物体生産 / 土壌特性 / 土壌動物 / 大気環境 |
研究概要 |
この研究は、内蒙古地域の草原地帯について、草原を荒廃させることなく、高い生物生産をあげ、しかも環境を保全するにはどうしたらよいかをあきらかにすることを目的として行われた。そのために、土壌、植物群落、土壌動物、大気についての基礎的な調査を行った。その結果は以下のとうりであった。 1.土壌は淡黒色土、暗栗色土、栗色土、暗灰色森林土よりなり、主な土壌の土壌物理性は容積重113.9(g/100ml)、空気率47%、水分率9.9%、固相率43.1%であった。 2.植物群落は植物社会学の立場から四つの群集に分類された。すなわち、 1.Agropyron desertorum-Bromus irukutensis association,2.Stipa baicalensis-Carex pediformis association,3.Stipa grandis-Artemisia commutata association and 4.Stipa krylovii-Festuca dahurica association.であった。 これらの群集の分化はこの地域における地形の違いと人為作用の結果によるもので、人間の土地利用の仕方を敏感に反映したものといえる。 3.この地域の代表的な植物群落の種類構成は、優占種のシバムギモドキのほか約48種類からなり、植物体全体の重さは1ヘクタールあたり約4トンであった。そして、ここに生育している植物のある種はその種類固有の昆虫とむすびついて受粉を行っていた。人間の土地利用の方法と強さにより、群落の構成種は変化し、それによって植物体の生産量も変化するとおもわれる。 4.この草原の土壌中には土壌動物が1平方メートルあたり大型動物で75から262個体、中型動物で4400から60200個体棲息していた。 これらの土壌動物の数は植物から供給される植物遺体の量によって影響されると思われた。 5.草原地域およびその周辺の市街地における大気中の水銀濃度を測定したところ、草原地域の大気の水銀濃度は自然の大気中の濃度をこえることはなく、水銀濃度のこの地域でのバックグラウンドを知ることができた。これによって、今後の環境の変化をチェックすることができるようになった。 このような生態系の特性をもとにして、この草原を退行させることなく、しかも最大の生物生産をあげるにはどうしたらよいかを考察した。
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