研究課題/領域番号 |
63043010
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
俣野 恒夫 埼玉大学, 理学部, 教授 (60008802)
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研究分担者 |
井上 直也 埼玉大学, 理学部, 助手 (40168456)
佐々木 宏 高知大学, 理学部, 教授 (80036566)
本田 建 山梨大学, 教育学部, 助教授 (10115321)
川隅 典雄 山梨大学, 教育学部, 助教授 (40020416)
津島 逸郎 山梨大学, 教育学部, 助教授 (30020366)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ハドロン / 空気シャワー / ガンマ線 / 宇宙線 / エマルション / チャカルタヤ |
研究概要 |
チャカルタヤ山上でエマルションチェンバーにて観測した空気シャワー中心部の高エネルギー現象において特に高いエネルギー現象として11例を選別し(1Tev以上のハドロン数5本以上)、陽子を一次宇宙線と仮定した3次元モンテカルロシュミレーション(CERN SPS加速器の実験結果を超高エネルギー領域に外挿したEAモデルと従来からのCKPモデルを考慮したHMモデル)の結果と比較を行った。実験データは11例中10例についてその平均のエネルギースペクトラムを求め、シュミレーション計算と比較した。又、とりわけ高いエネルギー現象と考えられる残り1例(big event)は別に取り扱いこれについてはハドロンの横広がりについてもER分布を求め詳細に計算と比較を行った。これから、次の結論が得られる。 1。エネルギースペクトラム、及びER分布の実験データを説明するにはEAモデルのほうが望ましい。 2。10例の平均のエネルギースペクトラムとEAモデルと比較からそれら現象は平均として一次宇宙線エネルギー10^<15>ー2×10^<15>eV、その第一回衝突から観測点までの大気通過量が110ー270gcm^<-2>と考えられ、比較的深く一次宇宙線が突っ込んで来て作った空気シャワー中心部を捕らえているものと考えられる。 3。big eventについては同様に一次宇宙線エネルギーとして4×10^<16>eV、大気通過量100gcm^<-2>以下と見積ることができ、高エネルギー一次宇宙線が観測点上空1kmー2kmで第一回衝突を起こしたものと考えられる。 4。また、big eventのER分布とEAモデルとの比較から6ー15TeV領域のハドロンについては計算とよく一致しているものの、30TeV以上のハドロンのER分布については計算よりその分布が広がっている。これは計算に用いた横向き運動量0.36GeV一定、という仮定について、10^<16>eV以上の高エネルギー粒子相互作用においては増加させてやることにより定性的に説明される。 次に、1986年2月より10^<14>eV以上の宇宙ガンマ線によると考えられるハドロンレス空気シャワーに注目し観測を行ってきておりこの2年半の観測から次の点が明らかになった。 1。チャカルタヤ山において対象にできるガンマ線源の候補とされるx線連星、ScoX-1、VelaX-1、SS433、SN1987a、V1223SGR、X1822-371等についてその連星系軌道周期、もしくはジェットのrotation periodによる周期解析を行ったところハドロンレス空気シャワーの定常的な増加成分は検出されていない。 2。ScoX-1については1986年5月後半にバースト的なハドロンレス空気シャワーの増加がみられ、χ^2検定によると一様分布から期待される確率は7.05×10^<-5>でありその強度は(8.33±3.58)×10^<-8>m^<-2>s^<-1>となる。 3。銀河中心方向からのハドロンレス空気シャワーについて、他方向からのものと比較して3%の増加がみられ銀河中心方向に10^<14>eV以上の粒子加速を行う源の存在が推測される。 研究を発展させるためには現在の装置を50m^2以上に拡大し観測を行うことが望ましい。これにより1研究を発展させるためには現在の装置を50m^2以上に拡大し観測を行うことが望ましい。これにより10^<17>eV以上の粒子相互作用について10例程度の事例を得、空気シャワー装置との連動から低エネルギーガンマ線過剰、横向き運動量増加についてより定量的な議論を行うことが可能と思われる。又、宇宙ガンマ線については測定のeffective areaが8倍程度に改善されより精度よい観測を行うことができ検出器近傍に落ちた空気シャワーについてはその総ハドロン数の測定から個々の空気シャワーについてその親粒子がガンマか核子かの識別が可能になるものと思われる。
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